裁判員制は人生を変えるか 「残虐写真の悪夢」と「地域への責任」

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「日本ではどんなものが得られる?」

   IT企業に勤める男性(52)は8年前、4人殺害事件の裁判で、陪審員のリーダーを勤めた。直接証拠がなく、被告は否定する。4か月の間に、書き留めた証言や証拠は900件にもなった。結局血液のDNAや現場のタイヤ痕などから有罪と出た。

   男性は「地域で起きたことは自分たちで裁く。それが地域への責任、人々を守ることになる。裁判のあと人生が変わった」という。

   重い負担になった例もあった。49歳の男性は、残虐な現場写真にショックを受けた。「ショットガンで顔を撃たれた写真」が、裁判のあとも1年くらいは夢に出てきた。彼は陪審員の仲間たちに支えられて立ち直った。

   裁判のあと、陪審員たちが集まることは、ごく普通だという。貴重な経験の共有は、地域を考える核にもなる。守秘義務がないから、手記をまとめることもできる。

   こうした意識を養うのは学校だ。幼い頃から、その意味と重要性を教える。建国以来続く制度でありながら、この努力はずっと続いているのだった。一片の呼び出し状だけの話ではない。あらためて、あの大統領選挙の意味もわかる。

   国谷裕子が「日本ではどんなものが得られるか」と聞く。

   作家の夏樹静子は、「一生に一回あるかないかだといいますね。自分に関係のない人を見つめることで、すぐに結果は出なくても社会が変わってくると思う。私だったら肩の力を抜いて自然体でいく」と。

   そう、観察者になって何が起こったのかを知るだけで、世の中を見る目が変わる。社会の一員だと思ったら大成功だ。

ヤンヤン

   *NHKクローズアップ現代(2009年5月14日放送)

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