真の男女平等社会を築くためのマニフェストを携え、東ちづるが威勢よく小さな国会に乗り込んできた。そして、いつも大仰な番組ナレーションに言わせれば「太田総理史上、最大のバトル」の幕が開いた。
「男性にも必ず半年間、育児休暇を取らせます」が今回のマニフェストだ。現在の制度では、両親は子供が生まれてから1歳までの間、育児休暇(従業員の場合)が取得できる。その間は雇用保険から給料の最大50%が補填される。父親も母親も取れるのだが、女性の育休取得率が90%近いのに対して、男性は1.6%しかないのが現状だ。
2人で一緒に育てていくはずの子供なのに、女性にばかり負担は重くのしかかる。それまでの仕事、キャリアを中断、放棄せざるをえないのも女性のほうだ。そこで、両親に育児休暇を義務づけ、その間の給料分を100%国が面倒見るというが――。
3組の芸能人夫婦(野々村真・俊恵、薬師寺保栄・博美、横田真一・穴井夕子)をはじめ、ほぼ女性が賛成、男性が反対と別れて座った(例外は民主党の原口一博と経産省勤務の育休経験者)。太田光総理(爆笑問題)もマニフェスト反対。
これら夫婦の『大ゲンカ』が番組的な売りだったらしいが、顔ぶれといい、話の中身といい、新味には乏しい。そんななかで、東の義憤を駆り立てたのは芸人軍団の夫婦観だった。「男性は社会的な生き物」(ふかわりょう)。「小さい子供は母親を求めてる。父親は外で働くよう、DNAに組み込まれている」(レッド吉田)。これを聞いて東は叫んだ。「こういう古い男性の価値観を私はつぶしたい!」。
さて、肝心のソーリである。まだ子供はない。できたとしても育児は「しません」。そのワケは「女性が素晴らしいから」「母親が育ててる方が安心できる」「子供は父親の背中を見て育つ」というソーリに東は「それ古い。そういうお父さんにならないでね」。
小さな国会も終盤戦に入り、穴井や東が父親の主体性欠如を示す例として「家族サービス(という言葉)」を挙げると、ソーリはキレた。「だからさ、そういう細かいことぐちぐち言うからイヤなんだよ。バカだよ。そういうこと言うから、プレッシャーでみんな(男は)ダメになっちゃう」
「最大のバトル」かはともかく、けたたましさ度ではこのごろ稀に見るマニフェストではあった。結局、12対7で可決された。ちなみに東自身も自分の子供を育てた経験はないようだ。
ボンド柳生
*太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中(日本テレビ系)