「米国の医療保険負担」と「日本の儲け」 オバマが制度にメスを入れた

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「日本がこれから問われること」

   この緊急策に続くのが、公的医療保険制度の創設だ。2010年度予算に「10年間に63兆円を投ずる」とうたった。財源は富裕層への増税。レーガン大統領以来30年続いた「小さな政府と自由市場にまかせる」政策との決別である。

   これは15年前クリントン政権がとりかかったが、共和党によって「社会主義だ」と叩きつぶされたもの。当時これを主導したのは、ファーストレディーだったヒラリー・クリントン現国務長官というのも皮肉な巡り合わせだが、すでに闘いは始まっている。

   抵抗の主力は保険会社だ。「自由市場だからサービスの質を落とさずにコストを下げられる」「だれもが保険に入ったら病人が殺到して、医療費がはね上がる」。また共和党からは、「オバマは大きな政府の限界を理解していない」などなど。

   対してオバマ政権は、中間層に向け、選挙戦さながらの草の根キャンペーンを張っている。戸別訪問をレポートした工藤典子記者が、「15年前には無関心だった人たちが、いまは賛成にまわっている」といった。

   このオバマの方向性を経済評論家の内橋克人は、「経済だけでなく社会全体を向上させるために、正統な政府機能をフルに働かせようとしている」と評価した。同時に、「これは日本がこれから問われることでもある」と。

   オバマの目的意識はおそらく正しい。保守派との闘いはし烈をきわめるだろうが、長期展望には揺るぎがないようだ。その意味で、内橋の日本に関する指摘は鋭い。

ヤンヤン

   *NHKクローズアップ現代(2009年4月23日放送)

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