オバマ「経済対策」の評判 危機脱出の糸口は?

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   オバマ米大統領が間もなく、最初の「成果」が問われる就任100日目を迎える。

   まだ道中だが、最近の新聞の世論調査ではオバマの対策に56%の米国民が「評価する」と答えている。

就任100日

   番組は、米経済再生の「いばらの道」を切り開くことができるのか、オバマ大統領の『就任100日目』を取り上げた。

   まず、オバマ大統領が「今行動をしなければ危機は破滅になってしまう」と言う危機対策から。

   今後2年間で350万人の雇用創設が見込まれている公共事業の新規発注。この積極策を受けて、道路や橋などの公共事業の工事が各地で始まっている。

   失業や減給で、今住んでいる住宅のローン支払いに困り、差し押さえの心配がある人には金利の低い住宅ローンへの借り換え策も打ち出され、今月7日各州でローンの受け付けが始まった。これによって900万世帯が差し押さえを回避できるという。

   また750万ドルを投入し、サブプライムローンの破綻で住宅を失った人たちへの住宅支援策も打ち出されている。

   で、そろそろ「オバマ大統領の積極的な対応ぶりはどう評価されているのか?」(キャスターの国谷裕子)という疑問がわく。

   スタジオに生出演した日本総合研究所の藤井英彦調査部長は「野心的な対策を相次ぎ打ち出してきたのを総括すると3点ある」と、次のように言う。

「第1は総合的であり戦略的であること。第2は規模の大きさ。3番目はスピード。短期間のうちに過去に類例のない力強い対応は評価されるべきと思う。ただ効果となると、失業した人のセーフティーネットは含まれていないので、まだ悪循環を断ち切れていない」

   そうした苛立ちもあるのか、積極的な財政出動に反発する声も出ている。

   先週、ホワイトハウス前で行われた市民集会に3000人の集まり、「将来、重い増税がのしかかってくるのが目に見えているゾ!」「子供にツケ回すのをやめてくれ!」と声を張り上げた。全米で100万人が集まったという。

   規制緩和や民間活力で巨額な赤字を削減しようと、レーガン政権時代以来30年続いてきた『小さな政府』を信奉する人たちだ。

「肯定」も安心感はまだ

   これに対しオバマ大統領は「『大きな政府』とか『小さな政府』はもはや陳腐な議論。財政赤字が問題なのではなく、どのように適切に使われたかが重要だ」と反論。

   しかもオバマ流ネット利用術を駆使。財政出動で使われた費用をネットですべて公開し、雇用創設などにどんな効果が出ているか、目に見える形で示している。

   そうしたことが奏功しているのか、NHKワシントン支局長の大越健介によると「オバマの経済対策は、世論調査の結果をみると肯定されている。ただ、国民の大多数が安心感を感じるまでには至っていない」という。

   「では、いつまで危機対応モードを続けていかねばならないのか?」(国谷)という疑問に、前出の藤井調査部長は……

「いぜん不透明。没落した中間層の再生が次の焦点になってくるが、財政が膨らめばドル安が進み長期金利が上昇する。実体経済と財政、財政と為替、為替と金利という複合方程式を解いていかねばならないが、グローバル化の中でアメリカ単独でとける時代は終わった。国際協調路線が欠かせない」

   ダイナミックな規模とスピードは、半年近くなってやっと経済対策が動き出した麻生政権に比べると天と地の差を感じる。アメリカからアフガン支援などを名目に、財政赤字増大を「同盟国・日本」にツケ回しされてはたまらない。

モンブラン

   <メモ:オバマ大統領の景気・金融対策>
史上最大規模という7870億ドル(約77兆円)の景気対策をはじめ、1兆ドルの金融対策、そして住宅対策と、矢継ぎ早に打ち出した対策で、財政赤字は2008年に比べ09年現在4倍に跳ね上がった。しかし、ダイナミックな財政出動にもかかわらず、失業率は就任時1月の7.6%から3月は8.5%に上昇している。

   *NHKクローズアップ現代(2009年4月22日放送)

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