「肯定」も安心感はまだ
これに対しオバマ大統領は「『大きな政府』とか『小さな政府』はもはや陳腐な議論。財政赤字が問題なのではなく、どのように適切に使われたかが重要だ」と反論。
しかもオバマ流ネット利用術を駆使。財政出動で使われた費用をネットですべて公開し、雇用創設などにどんな効果が出ているか、目に見える形で示している。
そうしたことが奏功しているのか、NHKワシントン支局長の大越健介によると「オバマの経済対策は、世論調査の結果をみると肯定されている。ただ、国民の大多数が安心感を感じるまでには至っていない」という。
「では、いつまで危機対応モードを続けていかねばならないのか?」(国谷)という疑問に、前出の藤井調査部長は……
「いぜん不透明。没落した中間層の再生が次の焦点になってくるが、財政が膨らめばドル安が進み長期金利が上昇する。実体経済と財政、財政と為替、為替と金利という複合方程式を解いていかねばならないが、グローバル化の中でアメリカ単独でとける時代は終わった。国際協調路線が欠かせない」
ダイナミックな規模とスピードは、半年近くなってやっと経済対策が動き出した麻生政権に比べると天と地の差を感じる。アメリカからアフガン支援などを名目に、財政赤字増大を「同盟国・日本」にツケ回しされてはたまらない。
モンブラン
<メモ:オバマ大統領の景気・金融対策>
史上最大規模という7870億ドル(約77兆円)の景気対策をはじめ、1兆ドルの金融対策、そして住宅対策と、矢継ぎ早に打ち出した対策で、財政赤字は2008年に比べ09年現在4倍に跳ね上がった。しかし、ダイナミックな財政出動にもかかわらず、失業率は就任時1月の7.6%から3月は8.5%に上昇している。
*NHKクローズアップ現代(2009年4月22日放送)