「社会に冷遇される」若者 政治に目覚めた…のか?

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   クローズアップ現代のスタジオでは、この4月から番組セットが新しくなった。半透明で、ぼんやりと光るタイル状の壁が国谷裕子キャスターとゲストが陣取る机を取り囲む。なんというのか、近未来SF映画でトム・クルーズが住んでそうな部屋といった感じ。だが、今回の放送「政治は変わる?~動き出した若者たち~ 」で取り上げられたテーマ「若者の政治無関心」はそう目新しくもない。

   選挙の投票率は総体に低下しており、若者のそれはとりわけ低い。投票者の平均年齢も37.3歳(@1967年)が52.8歳(2005年)と高齢化。その結果、候補者は医療・年金、介護といった高齢者に直結する政策を訴え、雇用、国際問題といった若者の関心のあるテーマは掲げない傾向が見られる。「若者が置いて行かれる選挙が多くなっている」と日本大学の岩淵美克教授は分析。

議員インターンシップも

   だが、そんな現状に対して危機感を覚えた日本の若者が動き出した――という。ケース1。投票を呼びかける大学生たち。彼らマグニフィセントな7人はivote(メールプロジェクト)なるケータイサイトを立ち上げた。あらかじめ登録しておくと、投票日の朝にリマインドのメールが届く仕組みだという。

   次の総選挙までに10万件の登録を目指すというが、「これまでの登録者は200人弱ということです」(国谷)

   ケース2。NPO法人ドットジェイピーは、大学生に「議員インターンシッププログラム」なる研修制度の斡旋をしている。長期の休みの間、政治家(議員)の下でインターンとして働くのだ。「自分自身が議員と行動をともにすることで、政治の大切さや投票の意味を実感できる」(代表)

   インターン経験者は政治家に対する好感度を高め、投票への関心も強くなるという。だが、実際にインターンになった大学生の数や、それが増加しているといった具体的な話は聞かれなかった(同法人のサイトによると年間約1500名の大学生が参加するという)。

   どちらも「若者が動き出した」現象として紹介するには、なんだか物足りないケーススタディに見えた。近未来スタジオでは、国谷キャスターも小首を傾げていた。「いまご覧いただいたような少しずつの取り組みで、若者の投票率を上げることにつながる――んでしょうかねえ」。珍しく、ハッキリと「疑い」の感じられる口調で、ゲストの片山善博・慶応大学大学院教授(前鳥取県知事)に問いかける。

   元政治家のほうは確信に満ちた表情で、若者への期待を語った。「つながると思いますね。いま若者は社会で冷遇されてますから、これから政治を手段として使うことを身につけていくと思います」

ボンド柳生

NHKクローズアップ現代(2009年4月14日放送)
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