新聞・TVは「お上」に屈服 「裁判員制」雑誌は問題点えぐれ

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今週のオススメ記事は…

   そう思っていたら、ポストの「メディア・ウォッチング」でノンフィクション作家の森功氏が、朝日新聞が3月22日付で出した事件・事故報道の「新しい指針」に対して、「昨今の司法制度改革関連の報道を見るにつけ、あまりにも司法を意識しすぎるように感じる。本来、報道基準は司法の判断とは別のところにある。報道の原点は市民の社会的関心に応えること。朝日は自らそう書いていながら、そこについて踏み込んだが議論がない」と批判している。

   また、連載「現場の磁力」で、携帯の「闇の職業安定所」で知りあった3人に、無惨に殺されたOLの一審判決を取り上げ、「『死刑』『無期』5月21日、あなたはどう選ぶ」と、娘を殺された母親の話を中心に書き進めながら、読者に問いかけている。

   国民に十分な説明もなく、憲法違反の疑いまである裁判員制度は、一度白紙に戻し、国民を入れて議論を尽くし、やり直すべきだと、私は考える。そのためにも、お上がつくってしまったものだから諦めろといわんばかりの新聞報道ではなく、違う角度から週刊誌も含めた雑誌は、問題提起をするべきだろう。まだ間に合う。

   最後に、今週のお奨めはと、もう一度各誌を眺めてみた。いつもは読みながら、おもしろい記事のページを折っておくのだが、残念ながら、今週はいくつかのコラムを折り込んであるだけだ。

   新潮の大特集「日本を襲う『テポドン』15の謎」は、いろいろ騒いでいるが、結局は、麻生首相の支持率アップのための演出に踊らされている「空騒ぎに過ぎない」というのでは、お奨めというわけにはいかない。新潮は、朝日新聞から「朝日新聞阪神支局襲撃犯の告白」記事に対して批判され続けていることが影響しているのか、このところ誌面に精彩がない気がする。「これぞ新潮という記事」を読ませてもらいたいものだが。

 

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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