イチロー「賛歌」と「批判」のタイミング
さて、今週の話題は何といっても侍ジャパンの2連覇だろう。決勝が火曜日だったことが、各週刊誌の明暗をクッキリ分けた。私も先週のこの欄で書いたように、今WBCのイチローの打撃不信は目を覆うばかりだった。そのイチローが、最後の最後でタイムリーヒットを打ってヒーローになる。だから野球はおもしろいのだが、ポストはグラビアで「隣国の大きな壁」、特集で「野村克也『やっぱり城島の『目立ちたがり』リードが根本問題や』」とあり、優勝は韓国と読んでいたようだ。
現代も「硬直イチロー星野の呪い」の中で、イチローは「下り坂を迎えた打者の典型」「プレッシャーに勝てない、ほんとうは『弱い男』」と腐している。2誌の編集長は、イチローが決勝打を打った瞬間をどんな気持ちで見ていたのだろうか。ご同情申し上げる。
朝日は、連載の「松坂大輔WBCレポート」だけで、勝ち負けには踏み込んでいない。これもありだとは思うが、松坂のコメントが「アメリカ戦では僕が先発します」ではね。
締め切り直前の大ニュースに、してやったりと、新潮は高らかに「『侍ジャパンのお荷物』陰口にも勝ったイチローの『日韓決戦』」とイチロー賛歌を歌い上げる。
野球もそうだが、もっと一寸先は真っ暗闇なのは政界である。秘書が起訴されれば辞任必至と思われていた小沢民主党代表が、居座ってしまった。政界のご意見番・田原総一朗氏も朝日の「ギロン堂」で「小沢は総選挙に臨むために、むしろ代表の座から降りることを望んでいるのではないだろうか」と予測していたのにである。