野球人気復活の秘策
私の好きなコラム、小林信彦氏の「本音を申せば」で、この問題にこう疑義を呈している。「大新聞は戦争中に軍部をホメたたえ、敗戦になったときも、読者である国民にひとことも謝らなかったので有名です。(中略)半藤一利氏が『昭和史』という本に書いていますが、国民を戦争にかり立てたのは新聞です。軍が動く前に、新聞が煽るのです」また、「検察の意図的なリークといい、なにをやってでも、自民党(または自公)内閣を守るという目的から発したものでしょう。新聞記者や検察官僚の、おそらくは、〈勘ちがいの正義感〉からの暴走が、ぼくに〈いやな感じ〉を抱かせるのですが、これは戦時中からの体験です」。小沢代表への潜在的な支持者は、意外に多いのかもしれない。
さて、新潮の早川編集長が4月半ばで交代する。8年近いのだから、代わっても何ら不思議はないのだが、朝日新聞阪神支局襲撃犯の告白騒動の後だから、何かと喧しい。だが、私もだいぶ前に本人から聞いていたが、そうしたこととは関係ない異動である。しかし、願わくば、朝日新聞から上記の件で「質問状」が出されたようだが、きっちり白黒をつけて、後任にバトンタッチしてもらいたい。
最後に、今週のお奨め。文春では、少し前から創刊50周年企画をやっているが、今週の「2000人大アンケート 心に残る50年の『流行語大賞』」がおもしろい。創刊時、昭和34年(1959年)の流行語は、清宮貴子内親王が結婚相手について語った「私の選んだ人を見ていただきます」から、「シェー」(65年)、「ウーマン・リブ」(70年)、「中ピ連」(74年)、「ぶりっこ」(81年)など、時代を思い起こさせる言葉が並んでいる。その中で栄えある第1位は、長嶋茂雄が現役引退したときの「巨人軍は永遠に不滅です」(74年)。2位にも「巨人、大鵬、卵焼き」(61年)と、巨人がらみの流行語が入っている。
親子二代の由緒正しい巨人ファンの私としてはとても嬉しい。巨人が弱くなったことで野球人気も衰退してきたが、日本人は野球が好きなのだ。WBCのあの熱狂ぶりは、往時を彷彿させるものがある。野球人気を復活させる秘策は、韓国、台湾、中国とアジアリーグを作り、そこの勝者と、大リーグの勝者との「世界選手権」開催しかないと思う。