3月18日夜、阿佐ヶ谷の「ロフトA」で月1回開いている、優れたドキュメンタリーを見る会で、MBC(南日本放送)の山縣由美子ディレクターが制作した「やねだん」を見た。
鹿児島県鹿屋市の柳谷集落、愛称「やねだん」は人口300人、そのうち65歳以上が4割を超える、いわゆる「限界集落」だった。ところが、優れたリーダーの下、「行政に頼らない地域再生」で、老若男女全員が労力や技術を提供しあい、独自の商品開発で自主財源を増やし、福祉や教育を自ら充実させ、集落の全員にボーナスまで配っているのだ。しかも、全国から移住してくる若い人も多く、人口が増えている、全国から大注目の「地域再生」に成功している集落なのだ。年寄りたちの表情がとても明るくて可愛い。
感動ドキュメンタリー「やねだん」
リーダーの豊重哲郎自治館長がこういう。「交付金などを当てにしていたら感動がなくなる」。村興しなんて他人事だと思っている村人に、「感動を与え、仲間意識を植え付けたら成功したも同然です」
過労死、薬害訴訟など現代の暗部を抉るドキュメンタリーは数々見てきたが、これほど元気をもらった作品はなかった。
一緒に行ったアメリカ在住の友人が、とってもおもしろい、これは、アメリカに売れるといった。オバマ政権ができたぐらいしか明るい話題がないアメリカでは、こうした話に飢えているというのだ。
私も、このドキュメンタリーを見ていて、多くの週刊誌編集者たちに見てもらいと思った。貧困、人減らし、政治・役人不信と、暗く沈みきったこの国に、今一番必要なのは感動なのだ。
感動する記事を探していたら、朝日のグラビアに、こんな句があった。
初桜 折しもけふは よき日なり 松尾芭蕉
これも小さな感動である。
今週も、挙って「小沢VS検察」の死闘がどうなるかが、各誌のトップに来ている。読み比べてみると、これからの政局が見えてくる。