群馬県、中3まで無料に
群馬県はこの秋から、全自治体で中3まで完全無料化の方針を打ち出した。前橋市など16の自治体がすでに実施。問題は残る22だ。財政負担が重くなる、無料化すると安易な受診がふえる、など懸念する声があがった。助成の半分は自治体がもつのだから、範囲がひろがれば額もふえる。
しかし県は、児童が高学年になるほど病院へいく回数が減るという統計を根拠に、「医療費はそれほどふえない」と無料化に踏み切った。医療関係者からは、早期に病院に行けば重症化を防ぐことができ、医療費も抑えられるという助言もあった。
「群馬県の例から何を読み取れるか」と畠山が聞く。
芝田教授は、「群馬は財政支出の見直しを行って、子どもが大事だと、予算配分の優先順位をあげた。医療費の抑制には自己負担をあげるというのが普通だが、これを無料化でやろうという。先進事例です」と高く評価した。
外国の例では「ニュージーランドは原則無料で、結果医療費はかからない。これはイギリスでも実証されている」という。
日本の社会保障は、正規雇用を基本に組み立てられてきた。しかしいま、非正規雇用が3分の1に達し、いまセーフティーネットからこぼれ落ちる人たちが増えている。無保険は、こうした人たちの窮状を端的に示すものだ。
「子どもに重点を置いた改革は可能だ」と芝田教授はいった。
こうした柔軟な発想は、収支の足し引きしかできない頭からは出てこない。地方が先導しているのは、うれしい。それにしても定額給付金の2兆円があれば……と思ってしまう。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2009年3月12日放送)