病院へ行けない子どもがふえている。昨2008年10月時点で3万3000人。親が失業などで国民健康保険料を払えず、「無保険」になったためだ。国は4月から緊急対策として、15歳以下の子どもたちに無条件で保険証を交付するが、医療費の3割負担は変わらず、やはり病院にはいけないという。
東京近郊のある父親は、子どもが高熱を出しても風邪薬でしのぐしかなかった。「病院へ行けば、診てもらうだけで5000円、検査をすれば1万円かかる。3割でも払えない」
学校が医療費立て替えも
最近は、小学校の保健室へ駆け込む子もふえた。大阪府下の小学校の養護教諭が、高熱を出した子どもを診ていた。薬を出すなどの医療行為はできないから、病院へ行かないといけない。「だれに連絡しよう」「連絡せんでもいい」と子どもはいう。
けがの子も来る。保健室が病院代わりなのだ。先生が病院へ連れていくこともあるが、親が医療費を払えずに、学校が立て替えることも珍しくないという。教諭は「親の収入に左右されない新しい医療制度が必要」と感じている。
畠山智之キャスターが芝田英昭・立命館大教授に聞いた。「なぜこうなったのか?」
「日本の健康保険は、正規の労働者が土台だが、これが自営業や無職の人のための国保にながれてきている」
「中学生までは無条件で保険証を出すことになった」
「一歩前進だが、3割負担が重い。風邪で1万円かかると、負担は3000円。これが軽いかどうか」「高校生以上になると……全額自己負担だ。負担が3倍になる」
自治体には助成制度があって、子どもの医療費を軽減したり無料にしたりしている。小学校入学前の児童まで、というのは全自治体で行っているが、小3まで、小6まで、中3までと自治体によって内容が違う。