高校中退に見る貧困化 その不気味な広がりと絶望

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   深刻度を増す経済危機の中で起きている雇用悪化。貧困から授業料を払えずに高校を中退する生徒が急増している。

   その数は現在、年間7万人を超える。授業料を滞納している生徒数も、私立高校だけで全国に2万4000人。去(2008)年3月から9月までのわずか7か月間で3倍増に達した。

教科書代に制服、体操着…

   番組は、「雇用だけでなく根が深い」とこの問題を取り上げ、その背景には「親の負担で支えられてきた戦後の教育行政、脆弱な社会保障があり、早急な抜本的な組み替えが迫られている」(小宮みち子放送大教授)と問題提起した。

   山梨県や鳥取県で今春、晴れの卒業式で滞納を理由に卒業証書が手渡されなかったり、手渡された卒業証書が回収されたりするケースが相次いだ。

   所得が低い家庭の生徒を救済する制度は、あるにはある。奨学金制度だが、それには限界があるという。

   公立高校の場合、初年度平均で教科書代が年間11万円かかる。公・私立高校とも、収入の低い家庭はこれが免除されるが、かかる費用はこれだけではない。

   制服代、体操着代、修学旅行の積立金など年間35万円ほどが加算される。しかもこの分の支援はない。もし奨学金を受けられたとしても、穴埋めできないのが現状という。

   また、奨学金を受けるには前年の親の年収、成績などの条件があるうえ、返済が義務づけられており、高すぎるハードルの問題もある。

   しかも、「高校生の中途退学は今に始まったわけではい」と、青年社会学が専門の小宮教授は次のように指摘する。

「10年ほど前から子供を持つ家庭の経済状態がじわじわと悪化して高校中退が増えてきた。それが昨年秋の経済危機によって目に見えるようになった」
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