「小沢問題」週刊ポストが指摘した 政治と司法の利害一致とは

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   待ちに待った東京地検特捜部対小沢剛腕政治家「夢の対決」である。不謹慎だが、WBCなんかよりおもしろい。

   小沢が「やましいところは何もない」と突っ張れば、特捜部は、お得意の新聞記者へのリーク戦術で、小沢ほど悪い政治家はいないという世論を作り出そうと懸命になる。

小沢批判と検察・自民批判

   今朝の新聞には、「準大手ゼネコン『西松建設』から民主党・小沢代表の資金管理団体『陸山会』への違法献金事件に絡んで、東京地検特捜部は、ゼネコン各社側から小沢代表側への献金システムの全容を解明するため、代表の地元・岩手県など東北地方の建設業者らから、参考人として一斉に事情聴取を始めた」(アサヒ・コムより)とある。

   新聞を読む限りは、特捜部が着々と、小沢王国のゼネコン支配の全容を解明しつつあり、小沢は絶体絶命に思えるが、さて週刊誌はどうなっているのか。

   現代は、小沢追及をライフワークにしている松田賢弥記者に巻頭を書かせ、小沢総理は夢に終わったと批判を強める。それにしては目新しい事実がないのが不満だが、注目はこの箇所である。「小沢事務所にあって小沢の了解なしにカネを動かすことなどあり得ない。それが半年にわたり小沢の『錬金術』を追い続けてきた私の確信だ」。小沢の「政治献金のチェックは秘書がやっていたから、知らない」という弁明は嘘だと、真っ向唐竹割り。

   このような小沢批判が主流かと思ったが、意外(?)にも他誌では、検察批判、自民党批判が多い。ポストは「『麻生官邸恐怖政治』に震え上がる与野党大物政治家たち」で、小沢第一秘書逮捕の情報を麻生首相とその側近たちは知っていて、政敵に刃を向けると同時に、与党内にも、オレに背いたらどうなるかわからないという恐怖を植え付け、政権居座りを企んだのではないかと推測する。確かに、この事件後、自民党内で麻生降ろしの風がピタリと止まった。

   また、検察が批判を承知で「政治的な捜査」に踏み出した理由について、5月21日からスタートする裁判員制度の問題があるというのだ。現在の樋渡利秋検事総長は、裁判員制度を推進してきた人物だが、民主党は、政権を奪取した暁にはこの制度を見直すといっており、さらに、取り調べを録画・録音する「取り調べ可視化」の成立をめざしているから、現場の検事の間では、捜査に支障をきたすと反発の声が強かったというのだ。政治と司法の利害が一致したという見方は、注目に値する。

   朝日は検察対小沢の死闘と謳って大特集を組んでいるが、こちらも検察に批判的である。山口編集長の「編集後記」にこうある。「検察の捜査が恣意的に行われるのはある程度仕方ないと思います。(中略)ただ、世間に対してきちんと説明がつく形にしないとマズイでしょう。(中略)これが検察不信につながり、ひいては国益を毀損することにならないか。心配です」

   元検事の郷原信郎氏、田原総一朗氏、ジャーナリストの青木理氏、元ライブドア社長の堀江貴文氏まで引っ張り出して、検察はおかしいのではないかという論陣を張った。田中角栄をはじめ、旧田中派の大物、竹下登、金丸信を潰し、連戦連勝してきた検察に小沢は勝てるのかと結ぶ。


元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)ほか

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