一時期、「おカネは大事だよ~」と謳うテレビCMがしつこく流れていた。言わずもがな、「カネだけじゃない」ところに人間の矜持があるのに、と反発したものだ。しかし、「だけじゃない」が極端に行きすぎると、それも困る。なかには、「ウチの仕事は高尚だから、カネ(勘定)を考えてやってほしくない(原稿料安くても文句言うな)」と平気で曰う蟹工船船長がいたりする。そんなときは「こっちはカネのためにやってるんだよ」と怒鳴りたくなる。
さて、冒頭よりの閑話休題。今回の放送で「なんだかんだいっても、おカネが大事だよ~」と、猛烈にアピールしたのは、ゲストの板東英二だった。彼は「小中学校の授業に『金儲け』という科目を設けます」というマニフェストを小さな国会に提案(提出)しに来たのだ。
「日本はホリエモンを排除した」
終戦直後の貧しい幼少時には、他人の食べものを盗んで食いつなぎ、プロ野球選手の現役時代には、牛乳配達やら、飲食店、株取引、不動産など、手広く事業を展開。普通ならばサイドビジネスと呼ばれるものだが、板東はいずれは辞めるプロ選手生活ではなく、これらのビジネスを本業と考えていたという。問題は、これらのビジネスが儲かってないこと。カネは大事だし、「貧乏は犯罪だ(貧すれば鈍する、といった意味で)」と考える板東は、自分の失敗を踏まえて、子供のころからのマネー教育を、と訴えるのだった。
なかなか考えさせられる今回のテーマ。評論家の宮崎哲弥、自民党議員の大村秀章、小学校教諭の山本洋ら賛成派は、カネを儲けること自体は「悪」じゃない――「カネ儲け」にモラルやルールが必要なこと、商行為ではwin-winを目指せと教えることが大事だよ、という。
一方、反対派は「(金儲けよりも)もうちょっと夢を持って育ったほうがいい」(工藤亜友・中学生)、「小中学校では、父さん、母さんの苦労を教えることが一番大事」(義家弘介・自民党)など、早すぎる、他のことを教えるべき、教育効果が疑問といった意見。
ところで、他人提出のマニフェストには無関心なことが多い太田光(爆笑問題)ソーリは今回も発言は少なめ。やっと口を開くと、なぜかホリエモンの話だった。ソーリはホリエモンの登場と退場にいまだに戸惑っているという。「あれで『カネそのものに価値がある』というアメリカイギリス型の社会に行くのかと思ったら、日本はホリエモンを排除した」
「軸足をどっちに置くのかわからない」まま、ソーリと日本人のマネーに対する価値観はスタックし続けている。それをどうやって「教えるのか」――そんな問題意識だったようだが、議長役の古市幸子アナに話の途中で不審そうに論点を問いただされるなど、ソーリの談話は、酒は飲んでないにしろ、かなり散漫な印象を与えた。
ボンド柳生
* 太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中(日本テレビ系)