「あしたのジョー」はいいのだけれど…
今週号でも、松田記者は、かつての小沢の側近小池百合子にこう語らせている。「小沢一郎さんという政治家は結局、『政権交代』しか念頭にない。最初に自分自身の描く結論ありきで、それが『政権交代』一点突破」
またこうも書いている。「小沢の側近と目されている山岡賢次国会対策委員長はある会合で、こう披瀝したという。『小沢とは、「麻生(首相)が早期解散に踏み切っていて(民主党が)政権を奪取していれば、今頃、金融危機の対応は手に余った」と話したんだよ』」
小沢は、強気な発言を続けているが、内心では、自分を子供のように可愛がってくれた田中角栄や金丸信のことを思い出しているのかもしれない。角栄はロッキード事件で逮捕され、その後に、政界のドンといわれ自民党副総裁にまで上り詰めた金丸信も、所得税法違反(脱税)の容疑で、東京地検に逮捕されて、失意のうちに死んでいった。
角栄譲りの金権支配と強引な政治手法が、司法によって裁かれるのか。国策捜査だ、一点の非もないと、この局面を乗り切るのか。
額は小沢ほど多くはないが、同じように政治献金を受けたり、パーティ券を大量に購入してもらっていた自民党の政治家へ追及の手が及ぶのか。メディアは、東京地検特捜部に対する「監視」も、していかなくてはいけない。
さて、今週は現代ばかりで恐縮だが、今週から始まった「あしたのジョー」が話題だ。このマンガは、1967年12月から『少年マガジン』で連載が始まった。70年安保闘争や学園紛争が吹き荒れる中、私は大学生だったが、「あしたのジョー」や「巨人の星」を貪るように読んだものだ。『朝日ジャーナル』『平凡パンチ』『宝石』など、雑誌が輝いていた時代だった。
改めて、読んでみたが、驚いたことに、古さは感じなかった。東京の吹きだまりのような街に現れた矢吹丈と、彼にボクシングを教え、自分の果たせなかった夢を託すことになる丹下段平が出会う第1回。われわれ世代には、懐かしく、目つむれば若きわれありである。
名作は色あせない。だが、今週の売り物が、この復刻連載だけというのは、いささか寂しい。これに「特命係長 只野仁」「担ぎ屋どおも」とマンガだらけだ。だいぶ昔になるが、講談社に『ヤングレディ』という雑誌があった。最初は『女性自身』のような女性誌で、「ギャングレディ」などといわれて売れた時期もあったが、次第に売れ行き不振になり、最後は女性マンガ誌のようになって休刊した。その二の舞にならなければいいのだが。(文中敬称略)