10円玉は「命」救うか 絶壁近くの電話ボックス

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   <テレビウォッチ> 「政権延命」のために遅々として進まなかった景気対策がようやく動き出した。その一方、派遣切りなどで生きる希望を失い、「延命」を断念し自殺する人が急増しているという。

保護された人は…

   番組は、南紀白浜の名勝『3段壁』に次々とやってくる自殺志願者に救いの手を差し伸べている白浜町とある牧師を取り上げた。

   高さ50m以上という断崖絶壁の『3段壁』を見ようと、普段は多くの観光客で賑わう。ところが、最近は「まったく別の目的でやってくる人が増えている」という。自殺志願者だ。

   白浜警察署によると、『3段壁』での自殺者数は、2006年11人、07年9人、08年になると21人に急増したという。

   立谷誠一町長は「自殺を望んで来られる方が、まだまだ増える可能性がある。1人でも命を守ってあげたい」と。

   そこで、2月からは町役場の職員やボランティアによるパトロールを実施、これまでゼロだった自殺防止対策予算を09年度は150万円用意した。危険箇所に柵や照明を設けるという。

   そんななかで、『3段壁』近くにある公衆電話ボックスが、自殺志願者の救済に大きな役割を果たしてきたというのである。

   電話ボックスの前にある立て看板。「たった一度しかない人生…この世に生まれてきたかいがないではないか!!」と訴える『いのちの電話』だ。

   電話器にはいつでも掛けられるようにと、町役場によって10円玉が置かれてある。電話の受け手は、『白浜レスキューネットワーク』の藤藪庸一牧師。先代の牧師から30年にわたって『いのちの電話』を受けてきたという。

   「1日にどのくらい掛かってきますか?」に、藤藪牧師は「短い電話を含めると8件ぐらい。ただ、1人の人が何回も掛けてくるケースもある」とか。その数は、1年間でおよそ1000件に達するという。

   で、保護された自殺志願者で身寄りのない人は、教会が保護し、共同生活しながら自立を目指しており、現在はそうした人が10人に達している。

   ただ、これからもっと増えそうな状況の中で藤藪牧師は「そういう人たちを白浜町はどう受け入れるか、僕も含め考えないといけない」と頭を抱える。

   これに司会の加藤が「保護された人は、藤藪さんに甘えてほしくないですね」と。一度は死を決心した人、甘えるつもりはないだろうが、といって現実は自立も難しい……。

文   モンブラン| 似顔絵 池田マコト
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