映画「おくりびと」が気付かせた 「日本人が忘れていたこと」

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「悼んでくれる人がいる安心感」

   天童が「悼む人」を書いたきっかけは、「9.11とアフガン侵攻」だった。「伝わってくるのは死者の数ばかり。死者を平等に悼むことができなくなっていた」

   主人公は、事件や事故で亡くなった見も知らぬ人のもとを訪ね、話を聞く。必ず3つの質問をする。「だれに愛されたか」「だれを愛していたか」「どんなことで感謝されていたか」。

   天童は、「この3つで、故人のかけがえのなさをつかめる」という。「その積み重ねが、誠実に生きる意味を次の世代に伝える」と。

   2つの作品に触れて、死者を受け容れることができた、という実例がいくつか語られた。どれも、「大事な、かけがえのない人だった」と納得し、生きる手がかりが欲しい人たちだった。

   中沢所長は、「かつては、死ぬと最低で最高のセーフティーネットみたいなものが受け容れてくれるという安心感があった。最近これが失われていたが、『悼む人』はそれを甦らせていた」 

   「悼んでくれる人がいるという安心感ですかね」(国谷)

   「日本人はそれを忘れていましたね。2つの作品で、死としっかり向き合うように、変わり始めた」

   かつて人は、死者との絆を保つ儀式や祭に囲まれていた。死がただただ暗いものになったのは、いつからだったか。振り返って、死者を誠実に送ってきただろうかと、しばし考えこんでしまった。

ヤンヤン

   *NHKクローズアップ現代(2009年2月26日放送)

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