「大スクープ」放った編集部の責任を
新潮の「私は朝日新聞『阪神支局』を襲撃した!」がようやく終わった。どういう終焉を迎えるのか。最後にどんでん返しの新事実大放出はあるのか。そういう意味では、最後まで期待をもたせる作りで、編集部の「意図」は成功したといっていいだろう。
だが、最終回も、口から出任せといっては失礼だが、裏取りできない話ばかりのオンパレードだ。編集部はこう書く。「事件を解明に導く可能性を秘めた『証拠』の数々は全て、島村氏の手元にある」。ならば、阪神支局の現場から奪ったという「緑色の手帳」を公開すれば、彼の話を眉唾ではないかと疑っている読者も納得するのに、なぜ出さないのか。
文春の先週号に八つ当たりして、元のカミさんに、文春にはあんなことを話していないと否定させても、信憑性が担保されるわけではない。
今週はポストまで乱入した。新潮が接触する前に、編集部に「島村征憲」の名前で、手紙が送られてきて、そこでも、阪神支局の実行犯であることを告白していたのだ。しかし、編集部は内容を精査し、社内法務とも相談して、取材を見送ったという。
この記事には大きな反響と共に、内容に対する疑問が、同業の週刊誌の中からも上がった。新潮編集部も、連載が終わったから、みなさん、このことは忘れてくださいでは済まないことは重々承知だろう。
時効は過ぎてしまったが、このような重大事件の犯人だと名乗り出た男の告白の検証は、ぜひ、今後も続けてもらいたい。それが、「大スクープ」を放った編集部の責任である。