「外国人介護士」定着させる気あるのか 政府の中途半端な方針

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   介護現場の人手不足を補うために日本政府は外国人介護士の受け入れを始めた。その第1弾として2009年1月末、100人余のインドネシア人介護士が、全国の51施設で働き出した。

   徳島・吉野川市の特別養護老人ホームに向かう5人の中にフィトリ・ワフュニングシー(23)の姿もあった。番組が8か月にわたって密着取材した女性である。彼女が育ったインドネシアの家も紹介される。家族は父母ら6人。建設作業員をする父の月収1万5000円が生活を支える。日本のアニメが好きだった彼女は「日本で働けば月18万円ほどの収入を得られて家計を助けられる」と、父に申し出たという。

3年で日本語国家試験に合格を

   入居者の前で「ヨロシク オネガイシマス」とたどたどしい日本語で挨拶したフィトリは早速、食事介助、話し合いなどの介護サービスを行う。が、お年寄りが口にする「さとうきび」「賢い」という言葉が理解できない。認知症の人は突然、どなったり、毎日会っているのに名前を覚えてくれない。「そもそも私は看護師です。介護の現場では私の知識は通用しません」と、ついグチってしまう。苦闘する彼女たちの行く手はさらに厳しい。

   フィトリたちが日本に残って働くには、3年間、施設での実習を続け、その上、日本語による介護福祉士の国家試験に合格しなければならないのだ。日本人でも2人に1人しか通らない難しさだという。しかもチャンスは1回のみ。フィトリたちに1人当たり800万円掛けて育てようとする施設側は「ハードルが下がってくれたらやりやすい」と話す。

   ところが、政府の方針は、EPA(経済連携協定)の枠組みの中でインドネシアが求める介護士、看護師を受け入れる特例で、「介護現場での労働力不足を補う手段ではない」(経済連携協定室長)という立場だ。外国人介護士に温かいとはいえそうもない。

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