存在感増すイランの自信とトラウマ アメリカはそれを理解できるか

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「現実直視とドラマが必要」

   「両国関係の根にあるものは?」との国谷裕子の問いに、山内昌之東大教授は、「一言でいえばトラウマだ」という。かつて英の石油会社国営化を進めたモサデク首相を、CIAが非合法に倒してパーレビー国王を政権の座につけた。これが後のイラン革命の原点。いまもってトラウマだと。

   「アメリカがそれを理解できるのか」と国谷。「そこが問題。歴史の違い、状況の違いを互いに理解しないといけない」

   「アプローチは可能か?」

   「2つある。まずイランが中東の地域大国だという現実を直視する。次にドラマが必要」

   「ドラマ?」

   「例えばだが、オバマがハメネイ師と対話するとか。中東の問題は、イランとの対話なしに解決はできない」

   「特異な政治体制は変わるのか?」

   「このままだとじり貧になる。自らも変わらないと、という答えがほしい。どちらへ向かうかが、イスラム世界の今後を左右する」

   この最後の問いが重い。革命を知らない世代は、外の世界を知らない。まずは風穴を開けること、空気を送ることではないか。オバマ大統領も「突破口を見つけたい」といった。

ヤンヤン

<メモ:イラン革命の経緯>1953年アメリカを後ろ盾に王位についたパーレビーは近代化を進めた。一方で、秘密警察支配の圧政とイスラム教徒の弾圧で、国内には不満がうっ積。1978年、パリに亡命していたホメイニ師を誹謗する文書をめぐって各地でデモと暴動がおこり、収拾不能になった。パーレビーは79年1月国外に逃れ、入れ替わって帰国したホメイニ師の指導で4月1日、「法学者の統治」によるイスラム共和国が生まれた。同11月、アメリカがパーレビーの入国を認めたことに抗議して学生がテヘランのアメリカ大使館を占拠、館員を人質にとった。

   *NHKクローズアップ現代(2009年2月12日放送)

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