「行政の紹介」行ったら「姥捨て山」 高齢者押し付け合う「お役所」

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「財政負担しろと言われても、困る」

   しかし、遠く離れた場所の施設は実態把握が難しく、行政の監視の目も行き届かない。そもそも、実際に住んでる自治体に住民票がないのは、コンプライアンス面でマズいんじゃないか。生活保護費などは、現地の自治体が負担すべきだ――。そう考えた東京都当局は、都内の福祉事務所に対して「老人ホームがある自治体に住民票を移させろ」との指令を出した。この際、老人たちを送り込んだ事情は忘れて現況優先、受け入れ先の自治体に責任を押っ被せようというわけだ。

   受け入れ自治体のほうは、それじゃあ話が違う、と猛反発。たとえば、茨城県かすみがうら市は、都側が負担する前提で80人もの老人を受け入れているのであり、その全員が住民票を移せば、介護保険給付だけで2億円も負担が増える見込みだという。「現在、市の介護保険給付費は22、3億円。それが急に1割もアップする。昔から居る市民には理解できない話だ」(長寿福祉課)

   「住民票を移す、財政負担しろと言われても、困る。そういう前提なら、これまでの協議は考え直さなければ」(同課)として、住民票移動を強行するつもりなら、いま預かってる老人たちは送り返すぞと脅しをかける。区側はいまさら返送されても、ほかに受け入れ先もないし、どうしようもないと困惑しているのだという。

   なんだか産廃や核廃棄物の処理をめぐる都市VS地方の対立でも見るようだが、これはたしかにいまの日本国内における人間の話である。

                                

ボンド柳生

NHKクローズアップ現代(2009年2月3日放送)
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