<テレビウォッチ>がんで亡くなってから15年。人気司会者だった逸見政孝さんの「がん死 15年目の真相」という特集――が、何の真相だったのかわからないままにVTRが終わると、カメラは当然のごとく、ジャーナリストで番組コメンテイターの鳥越俊太郎にクローズアップ。
鳥越のガンとの闘いは、保険会社のテレビCMなどを通して有名であり、発言以前に、今日の顔色や体調が気がかりになってくる。通常、番組では司会の赤江珠緒らが話を振り、鳥越が映るパターン。これだと不安が増すが、今日のVTRが終わったあとでは、まだまだ元気そうに見えたものである。
さて、逸見の妻のインタビューによると、何億円という金額で新築したばかりの自宅をどうしたいのかなど、(自分の死後のことを)何も言わずに死んでしまったことに、妻はわだかまりを持っていたのだという。
それを受けて、鳥越は「僕も家族にはほとんど何も言ってない」という。それは「心配をかけたくない。最後まで自分で始末をつけたい」という思い、そして自分がガンとの闘いに勝つという信念がある。逸見さんも死の間際まで、自分は生還すると信じていたという。
「あの筑紫さんだって、生還できると思ってた。僕も生還できると思ってるから、(家族に)何にも言わないんですよ。人間ってそんなもんなんですよ」。そう冗談めかして語ると、司会の赤江らには、「ふーん」の一言で軽く片付けられていた。
文
ボンド柳生| 似顔絵 池田マコト