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<ラーメンガール>ラーメンを主軸に描かれるヒューマン・コメディドラマ。1人のアメリカンギャル=アビーが失意のどん底の最中に出会った一杯のラーメンに魅せられ、感激のあまりラーメン屋の店主に弟子入りを志願する。
アビーは横暴なラーメン屋の店主マエズミに罵倒され、毎日掃除しか命じられなくても『センセイ』として慕っていく。今までの仕事は4か月しか続いたことがなく、「分からない……」とばかり言って言葉をあまり覚えようとしないアメリカ人が、よくラーメン屋の修行なんて耐えられるな、とまず感心してしまう。一杯のラーメンに感激し、だらしない自分に終止符を打ちたいというだけで異国に留まる決心をしたのならば、逆にものすごい根性の持ち主である。もう少しアビーの心情に説得力を持たせて欲しかった。
コメディタッチでテンポ良く進んでいく過程は純粋に楽しい。話の流れを断ち切るかのように突如入れ込まれるアビーと日本人のトシ(パク・ソヒ)とのラブストーリーは正直余計だが、徐々に築き上げられていく師弟関係や店の常連たちとの掛け合いが微笑ましい。
これはれっきとしたハリウッド製の映画だが、キャスト・スタッフともにほぼ日本人で組まれており、とくにキャストの配役が絶妙である。アビーが慕うマエズミには西田敏行。アドリブを交えてのセリフ回しはさすがで、ラーメン店主としての役作りにも徹したという(監修には 『天空落とし』の湯きりで有名な中村屋の店長がついている)。
またアビーを影で支えるマエズミの妻に余貴美子。ラーメンの達人役で山崎努。ライバル店の店主に石橋蓮司。そのほか店の常連で岡本麗、石井トミ子、前田健と豪華な顔ぶれが揃っている。そしてアビー役にはブリタニー・マーフィー。『8マイル』や『シン・シティ』などに出演している彼女。ハリウッド女優がいつもテレビで見慣れている俳優達とやり取りしているのは異様だが、そういった掛け合いも楽しめる。
残念ながらこの映画は今のところ都内1館(テアトル新宿)でしか上映していないが、日本人俳優が多く出演しているのだから、もっと各方面で上映してくれることを望むばかりだ。
ジャナ専 巴麻衣
オススメ度☆☆☆