日本人の臓器移植は「日本で」 突きつけられた現実

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心のケアも課題

   一方、国内の臓器提供者数は各国に比べて少ない(メモ参照)のが現状だ。法律に定める提供条件が厳しいからという指摘がある。

   また法律上の問題のほかに未解決な課題もある。重い決断をし、臓器を提供した家族のケアの問題だ。

   番組では、脳内出血で脳死状態になり、臓器を提供した若い女性患者の母親のケースを紹介した。

   まだ温かい女性の体から臓器が摘出されている間、外で待ち続けるしかなかった母親は「最後のひと時を一緒に過ごしてあげたかったという願いが叶わなかった。臓器を提供したのが正しかったのかどうか悩んでいる」という。

   キャスターの国谷が目を潤ませながらこう言った。「臓器の提供を増やしていこうとするならば、提供する家族の方々が本当に正しい選択をしたと思える環境整備からスタートすることが先決と思いますが……」。

   医学上の理屈だけでは解決できない日本人の死に対する考え方、死生観を変えるのは難しい。

   番組に出演した科学文化部の平沢公敏記者は国谷の問いに「まさにその通りだと思います。簡単に結論が出る問題ではないからこそ、国民全体で議論するしか解決の道はないと思います」と。

モンブラン

   <メモ:臓器提供者の現状>

   人口100万人あたりの1年間の臓器提供者数は、最も多いのがスペインの12.5人、日本はスペインの200分の1の0.05人。韓国と比較すると8分の1だ。日本の臓器移植法は、「書面による」本人の意思表示を条件にしている。多くの外国では「本人もしくは家族の同意」あるいは「拒否の意見がない場合は提供」となっているという。また15歳未満の場合、意思表示の有効性が認められていない。臓器移植改正案が国会に提出されているが、まだ本格審議に入っていない。

* NHKクローズアップ現代(2009年1月28日放送)

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