朝日新聞襲撃「告白スクープ」 その具体的疑問点

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   水曜日の夜、早稲田の居酒屋で、某ライターと飲んでいるとき、彼が、明日の新潮にごっついスクープが載るそうですと教えてくれた。

   木曜日の朝4時半に起きて(別に新潮を買うために早起きしたわけではないが)、コンビニで朝日新聞と新潮を買う。朝日に、全5段の半分を使って黒字に白抜きで、「実名告白手記 私は朝日新聞『阪神支局』を襲撃した! 島村征憲」と謳っている。

「以下次号」はないんじゃない?

   スクープの安売りが多い中、これは正真正銘のスクープに違いないと、すぐに電車の中で読み始めた。

   事件は1987年5月。阪神支局に何者かが侵入して散弾銃を発射し、29歳の小尻記者が死亡、もう1人の記者が重傷を負った。事件後、「赤報隊」と名乗るものが犯行声明を出したが、事件は迷宮入りしてしまう。凶行から20余年、実行犯が全貌を明かしたというのだ。

   興味津々、6ページの記事を、あっという間に読み終えたのだが、何かすっきりしないのだ。まず、これだけの大ネタだから出し惜しみする編集部の気持ちはわからないでもないが、「以下次号」はないんじゃない? 新潮らしく、1回で真相の大盤振る舞いをしてほしかったな。

   次に、この告白手記を読んで、腑に落ちない点を書いてみる。まず、話す気になったという「動機」が曖昧である。阪神支局を襲ったとき、見張り役をさせた若い衆が1997年に自殺したことがそれだというのだが、説得力に欠ける。

   犯人しか知り得ない秘密の暴露が、「犯行に使ったのは赤いボディのホンダ400cc」(犯行には車が使われたとされていたらしい)だけでは、こちらも説得力に欠けると思うのだが。


元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)ほか

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