「脱力企画」の年明け週刊誌 買って見たくなったのは…

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   遅ればせながら、あけましておめでとうございます。今年も、週刊誌の宣教師として邁進していくつもりです。よろしくお願いします。 年明け最初の号は、ほとんどが、年末までに取材しておいた「作り置き」記事なので、当然ながら、新鮮さよりも企画力が勝負になる。

山本モナらのグラビアが「救い」

   そう思って各誌を眺めてみたが、同じようなテーマで同じような筆者やコメンテーターを使った「脱力企画」ばかり。かろうじて、ポストの山本モナ、浅野ゆう子、石野真子のグラビアだけだな、買って見たくなったのは。

   コンビニで朝日を手にとって、思わず涙が出そうになったほど薄い!いやはや大変ですな、編集長。

   ちなみに朝日は表3(裏表紙)を除いて142ページ、新潮が162ページ、文春170ページ、ポスト(合併号)192ページで、何と、現代が一番厚くて堂々200ページだ。

   朝日の大特集は「天皇陛下と美智子さまの20年」だが、内容に目新しさはない。

   「ご即位20年、ご成婚50年」になるお二人について、いろんな人が話しているのだが、ほとんどが印象批評にとどまっていて、初めて聞く具体的なエピソードに乏しい。

   右の論客・西尾幹二氏の、今上天皇・美智子皇后はご立派だが、皇太子夫妻はいかがなものか論は、気持ちはわからないでもないが、どこの親でも、子育ては間違うもの、好きな異性ができると親から離れていくこと、皇室とて、例外ではない。

   現代で、渡辺みどり文化女子大学客員教授が「雅子妃には『離婚』という選択肢もありうる」といっているが、そうした「事件」が起きても不思議ではないくらい、皇室問題は先行きが不透明である。

   今こそ、敗戦後すぐに「文藝春秋」がやった「天皇陛下 大いに笑う」(サトウ・ハチロー、徳川夢声、辰野隆氏らの鼎談)のようなものはできないのか。われわれ民草は、天皇皇后が「大いに笑った」エピソードが読みたいのだが。

飯島愛「友人」たちの涙の白々しさ

   文春の左トップは「朝日一面スクープに渡辺トヨタ社長が怒った!」。4月に社長交代があると朝日が書いたことにちょっかいを出しているのだが、わずか2ページで、それも、朝日の報じたことが正しいのか誤報なのかが、いくら眼光紙背に徹してもわからない。

   新潮が、年末に「孤独死」した飯島愛について、一番ページを割いていたが、覚醒剤などの中毒死ではないようだが、よくわからない。

   飯島と親しかった私の友人は、彼女が死んだのは12月の6日頃ではないかといっていた。とすれば、2週間以上、誰も気付かなかったことになる。テレビに出て友人面してしゃべっているタレントたちの涙が白々しく見えてならない。

   「厚さ勝ち」の現代の売りは人気マンガ「特命係長只野仁」リターンズ。彼のルーキー時代に遡り、彼がなぜ「特命社員」になったのかが明かされるというのだが、14ページはいかにも短い。老婆心ながら、いっそのこと、もう一本のゴルフマンガをやめて、毎回24ページにしたらどうだろう。テレビとの相乗効果を狙うなら今しかない。

   前途多難を思わせる船出だが、各誌書いてるように「ピンチのときこそチャンス」ですぞ。


元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)ほか

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