ずんどこ・キヨシの「トリ」は「合格」か
強烈といえば、今年の紅白は、近年にくらべてNHK臭が少々露骨だったかもしれない。平和、環境、日本人の誇りなどについてのメッセージ、客席では出演者の家族が(涙ながらに)応援し、「天国の(恩師)○○のために歌う」といった曲紹介、尻切れとんぼな会話や映像、最後までほとんど役に立たなかった紅白応援隊などなど。カタにはまった紅白批判、NHK的演出批判は当欄の好みではないので、古典回帰(けっしてルネッサンスではない)的にして王道的な紅白だったと評価したい。
大トリ常連の大御所北島三郎から、今回はじめて大トリをつとめる氷川きよしへのバトンタッチを強調する演出も目についた。北島が公演の常連だったコマ劇の閉鎖を紹介したかと思えば、きよしの出番では北島が激励して送り出し、2人が握手するなどのシーンにカメラは密着して追いかける。
当のプリンスきよしといえば、変化球的なご本人キャラクターソング「ずんずん(略)ずんどこ、キヨシ!」を持ち前のとぼけた声色で熱唱。「(氷川のトリが)よかった」「よかった」という和田アキ子ら出演者の声の大きな内輪ボメに、これも釈然としない思いのなか、08年の紅白は幕を下ろしたのであった。
ボンド柳生