「血管もキレよと」おふくろさん
さて、上から下まで白装束でステージに立った森進一。これまでのおふくろさん騒動に軽く触れ、作詞者川内康範氏の遺族を呼んで和解ムードを醸したレコード大賞とは対照的に、紅白では騒動そのものには一切言及なし。森自身が「これからも(歌を)心をこめて歌い続けたいと思います」などと、騒動を意識しつつも、直接は触れない形のシンプルな挨拶。ただ、歌う直前に「作詞、川内康範。作曲、猪俣公章。おふくろさん」と告げることで、詞と曲への敬意を表したのはスマートなやり方と思えた。
いざ歌いはじめれば、血管もキレよとばかり、2年ぶりに「おふくろさん」を熱唱する様はまさに鬼気迫る。「誰がなんと言おうと、禁止されようと、この曲の歌い手はオレしかいない」といったプライドがみなぎり、良くも悪くも強烈な歌力が全身から放出されていた。