お笑いビッグ3・SMAP中居ネタ… 年末の週刊誌「一番オススメ」は?

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   2009年春には現代、ポスト、朝日が休刊するとの噂が、業界で飛び交っている歳末、各誌の新年合併号が出揃った。

   現代は2週連続の合併号。一昔前は、新年合併号といえば、1年で一番売れる号だったが、今では、平週号に10万か20万部上乗せする程度だそうだが、そうはいっても1年の掉尾(ちょうび)を飾るお祭りだけに、各誌「それなりに」力が入った企画を並べている。今回は歳末大出血サービスで、各誌のお奨め記事をドドドーンと大放出してみよう。

ポスト「日本再生計画」は期待できるか

   まずはポスト。合併号恒例のワイドは「この人たちの収支決算」だが、これといって新味はない。巻頭特集の「これが『平成の救国札』日本再生計画だ!」は、日本銀行が発行する「日銀券」ではなく、政府が直接発行できる「第2の通貨」を25兆円刷ってバラまけというのだ。昭和大恐慌の際に行われたことがあるそうだが、この「劇薬」は副作用が強そうだし、弱腰の麻生首相に期待するのは無理というものだろう。

   お奨めは、ノンフィクション・ライター杉山隆男氏の「田母神さん あなたは『武士』でも『指揮官』でもない」。自衛隊に詳しい杉山氏が、田母神前航空幕僚長に対して、「日本政府の方針に不満があったら、諫死するか、黙って耐えるべき」だと鋭く斬り込んでいる。思わず、その通りだと拍手したくなった。2週前に現代がやった田母神インタビューとは雲泥の差。

   朝日は残念ながら、特集に見るものなし。ワイド「日本の争点'09」は、1本1本が短くて消化不良気味だが、数が多いから、買っても、何本かは自分の関心のあるテーマにぶつかるはず。

復活「現代『特命係長』」が救うのは…

   現代も同じようなワイド「2009年大予測ニッポン」だが、こちらは1本に、ある程度のスペースを割いているから、読み応えのあるものも中にはある。NPO法人「自殺対策支援センターライフリンク」清水康之代表の「『'09年3月ショック』で年間自殺者5万人に」は興味深かった。ただ、スピリチュアル・カウンセラー江原啓之氏に日本と麻生政権の行方を占わせているのはいただけない。失礼だが、この人の胡散臭さがもろに出ている。意外なお奨めは「『リストラ・給与カット』会社と闘う完全マニュアル」。現代の定番記事だが、サラリーマン諸氏は知っておいたほうがいい。

   表紙に2か所も謳ってある(リストラの記事とニッポン大予測も2か所に載っているけど、これってうるさいと思うのだが)、人気劇画の再開「特命係長只野仁復活!」は、売り上げ不振を挽回する起爆剤となるのか。編集長は祈るような気持ちでしょうな。

   新潮のワイド「地獄の季節」は、私には読みたいものが見つからなかった。巻頭の「永田町を震撼させる議員秘書の『2億円詐欺スキャンダル』」、「45カ国『5000人』と体験した男の『世界女地図』」は満足度30%程度。茨城の「石岡店」と「石岡東店」の「不二家」で、期限切れのケーキを売っていたという内部告発は、またかとは思うが、読んでおいたほうがいいだろう。

   最後に文春。巻頭の「非公開資料が明らかにする世田谷一家殺人事件『八年目の全真相』」は、目を背けたくなる記述があるが、この事件に対する怒りが沸いてくるスクープである。

   中居正広と6年越しに付き合っている、父親公認の彼女の話は、それほど目新しくはないが、中居、倖田來未ファンなら読みたくなるのだろうか。読ませるのは「たけし、さんま、タモリ『忍び寄る老いと女』」。女がいても、「何もせんから、眠るまで横にいて」と頼んで寝てしまう、さんまの「絶望的な孤独」。たけしには現在、妻以外に立ち寄る女が、浅草ロック座会長で現在83歳になる「お母さん」と呼ぶ女性だけだという。浮いた噂もなく、吉永小百合の話をすると今でも顔を赤らめるタモリ。ビッグ3の意外なエピソード満載で、しみじみとさせる。

   最後に、合併号を採点する。特集、クリント・イーストウッド・村上春樹インタビューの企画もの、連載コラムなどの総合力で文春が「お買い得週刊誌」ナンバーワン。文春が売れている理由が、この号を読むとよくわかるはずだ。


元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)ほか

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