「銀行に企業助けろというべきだ」
しかし、どうして予測できなかったのかという疑問は残る。立教大学の山口義行教授は、「サブプライムローンのときに予測はできたはずだ」と見る。自動車の好調が住宅バブルに依存していたのだから、バブルの崩壊がやがて消費に響くのは自明の理。「ところが自動車でも、この春まで伸びると見ていた。誤った予測に乗って下請けは設備投資までした。経営の責任は追及されるべきだ」とまでいう。
こうした危機に追い打ちをかけているのが、資金繰りの悪化だ。中小企業の多くは、「借り換え融資」を繰り返しているが、ここへきて「経営は黒字なのに借り換えを拒否される」ケースがふえているという。資金が切れたら即アウトだ。
なかには、突然一括返済を求められた例もある。いわゆる「貸しはがし」だが、銀行から直接ではなくて、債権回収会社名でと手口は陰険だ。どちらも、自己資本比率を高めるためなのだが、新橋の経営コンサルタントは「銀行ともあろうものが、信じられない」という。
国谷裕子は、「それでは元気な企業もつぶれてしまう。本末転倒ではないか」と切り込んだ。そうだ、そんな銀行ならない方がいい。
武藤理事長は、「金融機能強化法改正が機能するのではないか。融資はふえてはいる」という。
山口教授は、「公的資金を注入してでも、この時期をしのがないといけない。銀行には、企業を助けろというべきだ」と。
動かない銀行を動かすのは政府の役割だろう。いまの政府にはいっても無理か?
ヤンヤン
* NHKクローズアップ現代(2008年12月18日放送)