実家は山形の米農家だというウド鈴木(キャイ~ン)が小さな国会にマニフェストを持ち込んだ。父親と一緒に考えたというそれは「海外からのコメの輸入を全部禁止します」。
そもそも米は自給率100%。米余りで減反政策を進めてるのに、その一方でなぜ政府が輸入米を購入し続けるのか。しかも輸入の事故米が食用に回されていたりする。これを遡れば、「なんだコレ? ジーエーティティー?」とウドが悩むGATT(関税及び貿易に関する一般協定)ウルグアイ・ラウンドに行き着くという。
「世界でモノ売るための年貢」
そこでは、世界の自由貿易の建前からして「自動車は外国に売りたいけど、米だけは特別だから輸入は勘弁な」という日本の理屈は認めてもらえず、「米輸入を呑むかGATTを抜けるかとなって、苦渋の決断をしたんですよ」(自民党・大村秀章)
で、米も輸入を認め、高関税をかけるかわりに、低関税の最低輸入枠(ミニマムアクセス)を設けざるを得なかった。実際はその分は国が義務的に消化してきた。国際コラムニストのケビン・クローンに言わせれば、「日本が世界でモノを売るための年貢。それぐらい買えよ」
これに対して、ソーリは「(米を輸入しなければ、GATTを抜けろなんて)脅迫じゃん」と、ウルグアイ・ラウンドを認めない姿勢である。「国際交渉はそういうものですよ」。大村がエキサイトしつつ、言い聞かせるように言うと、ソーリも顔を紅潮させて反発。「じゃあGATTを抜ければいい」と主張する。
「GATTはいまWTOですから(抜けようがねーよ、ボケ)」と大村、江藤拓らの自民議員勢はソーリの知識不足を鼻で笑う。じゃあWTOを抜けろ、と言い直したソーリに江藤が反論した。「WTOを抜けたら、(米の輸入はなくなっても)日本の輸出する品に、相手が自由に関税をかけられる。アメリカがトヨタの自動車に50%の関税をかけてきたらどうするんですか」
そう言われて、ソーリは横を向いて黙ってしまった。もともと、アソウ総理の資質を語るときや、匿名ネット掲示板問題にくらぶれば、ソーリの農政への関心はだいぶん低そうである。が、それにしても――。一国のソーリがGATT→WTOの流れも知らずに「GATT抜けろ」とは、ほとんど「みぞうゆう」級かもしれない。ウドの「ジーエーティティー」をそう笑ってもいられないだろう。
そんなソーリの失言にも関わらず、「米の輸入禁止」法案は大差で可決されたのだったが、小さな国会の農業政策はリアル同様に懸念されるところではある。
ボンド柳生
*太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中(日本テレビ系)