インド同時テロの「新しい」点

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   インド・ムンバイで起きた同時多発テロで、インド・パキスタン関係が険悪になっている。実行犯がパキスタン人だとするインドに対して、パキスタンは「関与を裏付ける証拠はない」と突っぱねたまま。米政府はライス国務長官をインドに派遣して、武力衝突回避に懸命だ。

拘束された男「ラシュカレ・タイバ」

   実行犯は10人だった。9人は射殺されたが、国籍は不明。たった1人身柄を拘束された男は、「カラチから船で来た」と話し、「ラシュカレ・タイバ」という名前を口にした。カシミールなどでのテロで知られるパキスタンのイスラム過激組織である。

   彼らは事件のあった11月27日夜、ゴムボートでムンバイの海岸に上陸するのを目撃されていた。それによると、男は8人で、2人ひと組みで町へ去ったという。ほどなく市内で多発テロが起こった。ムンバイ駅、ホテル、レストラン、ユダヤ教施設で手投げ弾と無差別銃撃で、171人が死んだ。

   インドではイスラム過激派によると見られるテロが多発しているが、今回の事件はいくつかの点で、これまでと異なる。

   インド国内のイスラム教徒によるテロの標的は、ヒンドゥー教徒のインド人だったが、今回は外国人をねらっていた。実行犯はホテルで、アメリカ、イギリス人をさがしていたといい、また、ユダヤ教の施設が襲われている。死者のうち26人が外国人(日本人1人)だった。

   また、手口も自爆テロではなく、銃の乱射などが2001年の国会襲撃事件に似ていた。この事件は「ラシュカレ・タイバ」が起こしたとされている。さらに、少なくとも2人が先行してホテルに投宿しており、金属探知器のある正面入り口を避けて裏口から侵入していた。内側から手引きした者がいたことは確か。彼らがインド人であった可能性もある。

   現地で取材を続けているNHKの小阪田和也記者(ニューデリー支局)は中継で、「ラシュカレ・タイバの関与は明らかだが、インド人かどうかはわからない。当局はパキスタンの勢力がやったという姿勢だ」という。

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