「もしぇ(面白い)番組だす!」。最初から最後まで出演者が山形弁で話す――そんな山形ローカル番組が人気を集めている。テレビとラジオの不定期放送だが、金曜ゴールデンタイムという「激戦区」で23%近い視聴率をたたき出したこともある。
テツandトモらが「なまらナイターズ」
番組独特の「ゆるさ」も人気の秘密だ
この番組は、NHK山形放送局制作のバラエティ番組「今夜はなまらナイト」だ。山形局のアナウンサーと、お笑いのテツandトモらの「なまらナイターズ」が「山形弁だけでしゃべる」のが特徴で、山形の郷土料理や方言を紹介している。2007年1月にラジオ番組としてスタートし、同年10月には深夜帯で初のテレビ放送もあった。08年10月24日にテレビ放送された「秋の夜長のいも煮スペシャル2」は、時間帯が金曜ゴールデンにも関わらず視聴率は22.8%もあった。不定期でラジオとテレビで放送しており、だいたい3~4か月に1回ぐらいの割合だ。
何がウケているのか。番組担当者は「山形弁で普通のことをしゃべっているだけで面白いようです」と話す。「おばんですー」、「~だべ」など、山形県民にとって、普段使っている言葉がテレビで話されているのを新鮮に感じているようだという。
番組に届くメッセージも、「初めて見だんでも、もしぇ番組だ~」「おらえでも夏は鯨使ったいるか汁たべるちゃ」など、山形弁が炸裂している。
「山形弁は、実際に文字としてタイプしてみると、非常に打ちにくかったり、読みにくかったりするんですが、番組を見て、皆さん自分でも山形弁を使いたくなっているようですね」
公式サイトに「山形弁変換ツール」
この番組は、ウェブサイトにも力を入れている。公式サイトには、番組のダイジェスト動画はもちろん、山形弁辞書「んだ辞苑」を設置。「ごめんください」→「かーうー」、「おんなのこ」→「へなこ」、「おもしろい」→「もしぇ」といった具合に、共通語を入力すると、山形弁に変換するユニークなツールだ。山形大学工学部の横山晶一教授が監修しており、登録語数は350。現在も増やしているという。
ほかにも、視聴者から投稿された動画を紹介するコーナーなどがあり、単なる番組紹介の枠を超えたサイトになっている。また、番組キャスターが山形弁交じりで更新するブログ「なまらナイト通信」も、よく山形弁のコメントが付いており好評のようだ。
「なまらナイト」が好評なことについて、司会を務めるNHK山形の柴田徹アナウンサーは、J-CASTテレビウォッチ編集部の取材に対し、局を通じてメールで回答を寄せた。
柴田アナウンサーは「いがったいがった」(よかったよかった)としながらも、
「おらだふつーに会話しっただげなんだげんと何がおもしゃいんだべね」(我々普通に会話してるだけなんですけど何が面白いのかな)
とコメント。今後の放送予定に関しては、「すっかもすんねし、すねがもすんね」(やるかもしれないし、しないかもしれない)とのことだ。
また、「全編方言」の番組が人気を呼んでいることについて、放送評論家の志賀信夫さんは
「放送というのは地域密着が大事ですから、このような番組が増えるのはいい傾向ですね。今後、地方局が番組を作っていく際には、『ローカルに徹する』というのも1つの答えになるのではと思います」
と話している。