番組の「小さな国会」冒頭とCM前には、本日の注目点、見所を紹介するナレーションがもれなく付いてくる。「○○が衝撃告白」「爆弾発言連発」「大激論」といった大層な言葉が並ぶが、実際見てみるとたいてい空振りに終わる。
今回もその例に洩れなかった一方で、主演の太田光総理(爆笑問題所属)は思いの外、終始好(口)調だった。ゲストの東ちづるが提出した法案は「政治家は3ヵ月間 サラリーマン研修をしてもらいます」。
「日本人は批判する。おかしい」
「政治家」と一般化しているが、実際には、世界一セレブという言葉が似合わないセレブ、麻生総理を狙い打ちする法案だ。ホテル大好きで自称庶民(の気持ちがわかる)派。「もともとセレブだから、自分のお金で食事するのはいい」(東)が、そんな生活では庶民の生活、実感はなかなかに理解しづらいだろうから、さらに積極的に下々の間に混じっていただく――。いかにもサラリーマン居酒屋で生まれそうな法案である。
さて、本日のソーリは、お喋りな東に任せて、えなりかずき出演時のように左団扇でいることもできたはずだ。だが、今回ばかりは現リアル総理に対する『悪意』がそれを許さなかったのか。「ホテル(利用)が多すぎ」「趣味が悪いよ、だいたい」「ゼータクですよ、ゼータク」「遊んでばかりいますもんね」「息、抜きすぎ」と口撃に熱を入れ、法案反対派の誰にでも言い返し、一歩も退かない。
となれば、やはり万年野党第一党のケビン・クローン(国際コラムニスト)の出番。「サラブレッド(=麻生)がサラブレッドらしい行動を取ると、日本人は批判する。おかしい」
これにソーリは反論。「どこかサラブレッドだよ。成り上がりの行動だよ、毎晩ホテルのバーで飲んでるなんて。なんでそんなにホテルが好きなんだ」「麻生さんは庶民派をアピールしてるのがおかしい。『オレはボンボンだ。庶民の生活はわからないけど、(総理を)やるぞ』と言えばいい」。自称「日本の庶民の基本」の番組ソーリは、ライバルに敵意むき出しである。
投票前最後の演説では、リアル総理の経済オンチぶりを批判して締めくくった。「麻生さんの、毎晩ホテルのバーで飲んでるなんてのは、どう考えてもやりくりのセンスを持ってる人の私生活だとは思えない。そういうセンスの奴が日本の経済をやりくりできるはずがないと思う」。
熱弁が功を奏したか、法案はなんなく可決されたのであった。
ボンド柳生
*太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中(日本テレビ系)