「私ね、今日で1週間禁酒しているのよ!」
キッカケはこの言葉だった。
やられた。ある番組で一緒に仕事をしている大のお酒好き女性スタッフが、さわやかにこう告げた。
「ええ~~~~~~~!」
私含めスタッフ一同がマンガのようにのけぞった。誰もが認める大酒飲みの禁酒は衝撃だった。しかし、驚くのはまだ早かった。
飲まなかったバツ印をカレンダーに
「1週間お酒飲まなかったらね、体重が2.5kg減ったのよ」
頭のなかで、エコーが鳴り響いている。2.5kg、2.5kg減った……
これで決まった! よし、私もやろう!!
大酒飲み女の私は、毎晩自宅隣のコンビニで500mlのビールと350mlの缶チューハイを買って帰っていた。コンビニが隣にあるのが罪なんだよね~、と思いつつ、仕事を終えて深夜1時、2時に1人家で飲むお酒はことのほか旨かった。
しかしだ! 彼女が禁酒できるなら、私にも出来るかもしれない。
その夜から、コンビニに寄らずにまっすぐ帰宅。私の禁酒が始まった。
それからは、就寝前に飲まなかったバツ印をカレンダーにつけるのが日課。
1、2、3、4、5……と、徐々にバツが増えていく。
ニンマリ。できるじゃん! 私。
他の女性にこの話をすると、感化されて一緒に禁酒に取り組むことになった。量こそ少ないものの、彼女も晩酌家だった。
仲間が増えたことで、はずみがついた。嬉しいことに体重も減り始めていた。禁酒4日目にして、なんと体重マイナス1.5kg。よし! これはイケる!! ベッドの中で小さく自分を褒め、翌朝、女2人でお互いの禁酒を確認し合っていた。
目の前に『純米吟醸』の4文字が
今夜で禁酒いよいよ7日目。飲みの誘いも断ったし、この夜を乗り切ったら1週間禁酒に成功する! 気分はさながら聖女で1人自己満足に浸っていたその時。
「ピンポーン」
こんな夜に限って、珍しく友達が家に遊びにきた。しかも手土産に八海山を持って……目の前に『純米吟醸』の4文字がちらつく。
禁酒の旨を告げたのだが、あまりにも美味しそうに八海山を飲む彼を見ていると、いてもたってもいられなくなった。
そして……
一口舐めてしまった。う、うまい! 私の舌と喉は歓喜に包まれた。
こうして、あっけなく私の戦いは終わった。今夜はカレンダーにバツ印をつけることなく眠り、明朝、一緒に闘ってきた仲間に敗北したことを話さなくてはならない。我ながら意志の弱さに感服。私、やっぱりダメ子だったわ……
モジョっこ