緒形拳の迫力が吹き飛ばしたもの

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   <テレビウォッチ>フジテレビの新ドラマ「風のガーデン」。「北の国から」の倉本聡脚本で、緒形拳の遺作となったことでも話題を集めている。主役は中井貴一。演出は宮本理江子、脚本家山田太一の娘だ。

   作品は、倉本ワールドの大作だ。始まったばかりだが、壮大な布石があるようだ。中井の役はモテモテの医者。だが、すい臓ガンが進行していることが分かる。緒形が父で訪問医という役どころだ。息子を勘当し、北海道・富良野に孫たちと住んでいる。「北の国から」のようなナレーションもある。

   緒形の演技を見ると痛々しい。病気と闘いながら演じていたと思うと彼の役者魂に打たれる。体調のこともあり、彼は札幌のホテルで生活しながら撮影に臨んだようだ。

   セリフも重く聞こえる。飼っていた犬が死んで孫がショックを受けているとき、緒形が、生きてるものはいずれ死ぬ、人間も、というような話をするシーンがあった。迫力ある演技だ。すごい役者だと改めて思わされた。

   一方の中井は、気合を入れて臨んでいるようだが、緒形の迫力の前に存在感がすっ飛んでいる形だ。まあ、いずれ2人が直接絡むようになり、そうしたらまた違う展開もあるんだろうけど。ともかく、大人が十分味わうことができる一級品のドラマだ。

   北海道の花の風景もいい。四季を撮る必要があるのでロケ隊を派遣し、手間隙かけたのだろう。ただ、カットがスピーディ過ぎてせわしない印象ではあった。正直いうと、あまり伏線が複雑すぎると、途中をすっとばしたくなる。最初の方を見て、あとは最終回間際のを見れば十分かな、という気もした。

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