(C)2008 映画 「ICHI」 製作委員会
<ICHI>たった1人で旅を続ける瞽女(ごぜ・盲目の女旅芸人)の市(綾瀬はるか)は、刀を抜くことができない臆病侍の藤平十馬(大沢たかお)と出会う。やがて、とある宿場町にたどり着いた2人は、虎次(窪塚洋介)率いる白河組と万鬼(中村獅童)を首領とする万鬼党の争いに巻き込まれていく。
勝新太郎の代表作であり、時代劇の金字塔ともいえる「座頭市」をリメイクするにあたり、過去には北野武も様々な趣向を凝らし独自のアレンジを加えようとしていたが、この映画はアレンジしすぎて、すでに座頭市ではなくなってしまった。
逆手居合いや博打好きなどの設定は踏襲しているが、主人公を女の子にしたことで、やはりラブストーリーが主軸になっていて、時代劇としては薄い作りになっている。とくにラストの大立ち回りの決着には、思わず拍子抜けしてしまった。
正直、綾瀬はるかをキャスティングしたのは間違いだと思う。つたない殺陣は、カット割りやスローモーション、音響を駆使してまずまず見応えのあるアクションシーンになっているが、盲目の演技も微妙で、リメイクゆえ本家の勝新太郎と比べてしまうと、最早かわいそうになる。そして何より、彼女の顔がきれい過ぎて、その時点でリアリティーがない。これではただのアイドル映画と見られても仕方がない。
この映画の配給はアメリカのワーナー・ブラザースだが、音楽に外国のアーティストを起用するなど、海外でのヒットも視野に入れているようだ。昔の座頭市ファンや時代劇ファンは納得しないだろうが、果たして外国人はどう評価するのだろうか。
ジャナ専 ぷー(JJC漫画研究会部長)
オススメ度:☆☆