<テレビウォッチ>東京・江東区で脳内出血を疑われた出産間近の36歳の女性が、7つの病院に受け入れを拒否され、結局都立墨東病院で、出産後に死亡していたことがわかった。ただ、同病院は最初に拒否していた。救急要請から5分の距離なのに1時間20分の遅れ。日本一充実しているはずの東京で、これだ。
この女性は10月4日夕、激しい頭痛、下痢、嘔吐の症状から、かかりつけの医師は頭部疾患を疑い、まず墨東病院に受け入れを求めたが、「当直医が1人で対応できない」と断られた。
医師はさらに6つの病院を打診したが、「集中治療室が満床」「脳外科が対応できない」「分娩進行を対応中」「別の妊婦の救急対応」で不可。結局最初の墨東病院が当直外の医師を呼び対応した。女性は帝王切開で出産し、脳内出血の血腫除去などの手術を受けたが、3日後に死亡した。
墨東病院は、東京に3つある「東京ER(総合救急診療科)」のひとつ。また総合周産期母子医療センター指定で、24時間態勢。この患者を診るのに東京でも最適の病院のひとつだった。ただ、センターは2名以上の当直が望ましいとされるが、医師不足で土日は1人だった(当日は土曜日)。
その墨東病院がなぜ拒否したのか。かかりつけ医師は、「頭部の異常をきちんと伝えた」といっているが、病院では、「最初、脳内出血がわからなかった。わかっていれば受け入れていた」としている。しかし、何をいってももはや後の祭りだ。
東京医科歯科大の川渕孝一教授は、「共通言語があるようで、ない」という。地方によっては、症状をコード化して、正確に伝えるようにしているところがあるが。「東京は遅れているかなぁ」という。「ただ、たらい回しじゃない。受けたいけれど受けられない」とも。
みのもんたは、受け入れを断った病院の事情を一覧にしてみせた。なかで、日本赤十字社医療センターが「満床。電話では切迫感が感じられなかった」というのにかみついた。「切迫感があったら受け入れたの? 赤十字だよ」
大林素子は、「2つ3ついってる病院があるので、どうしたらいいのかと思ってしまう」
嶌信彦も、「どれも日本を代表する病院でしょ」
川渕教授は、「真のリアルタイムじゃなかった」という。刻々と変わる病床などのデータをきちんと提供していたのか。「産科と脳外と診療所とが情報を共有しなければ」という。
みのは、「ERって何のためにあるんです?」と聞く。
教授は、「何でも診るER」の必要をいう。「日本ではERに段階があるが、アメリカには何でも診るERというのがある。そのかわり、医者もお金もつけないといけない」。
みのは、「厳しい勤務なのに、給料はエッというほど安い。だったら、10倍の待遇にすれば、人も増えるんじゃないか」
同教授は、「ブレア首相はそれで10兆円つけた。その代わりたらい回しをするなと。政治の問題ですよ」
2年前には奈良で、同じような状況の主婦が19か所の拒否にあって、出産後脳内出血で死亡した。東京では、昨年2000人以上の妊婦が救急搬送されているが、3か所以上の拒否にあったのが230件もあるという。