「無力だからこそ、あきらめない」

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   今回のゲストは、動物園飼育員・細田孝久。飼育員の仕事というと、動物に餌をやり、小屋の掃除をすることだというイメージがある。しかし人も同じだが、動物は生きている限り怪我もするし病気にもかかる。

   細田は動物の異常を見破り、ケアをするプロだ。野生の動物は弱みを見せないのだという。自分が衰弱していることを悟られないように元気に振る舞う。動物のわずかな異変を見逃さないよう、細田は動物たちを『とことん見る』。これが細田の仕事の流儀だ。

   動物を飼う人間ならだれもがそうだが、健康状態には常に気を遣う。排泄物の状態や鳴き方、挙動の一つ一つも自然と観察している。しかし、細田が相手にする動物は1匹や2匹ではない。膨大な数の動物を相手に、毎日健康チェックするのは気力がいることだ。その力の源は何だろう。

   細田はもともと動物が好きで、1度つとめた会社を辞めて動物園に入った。そこで初めて受け持った動物がラニーという名のサイ。しかしラニーは食欲を失い痩せていった。細田は夏バテだと思い飼育を続けたがラニーは一向によくならない。そのまま寝たきりになってしまった。サイは起き上がれなくなると、そのまま内臓が圧迫され死に至るという。

   詳しく検査をした結果、ラニーは夏バテだったのではなく、老衰していたことが明らかに。飼育方法を切り替えたところ、ラニーは再びたてるようになった。そこできちんと動物の状態を見極めることの大切さを知ったという。

「甘く見てた。真剣に向き合わないと動物は飼えないよ、といわれたような気がしますね」

   今回の放送で心に残った言葉がある。『無力だからこそ、あきらめない』。動物は必ず死ぬ。死を前に、人間は無力だ。助かることはないと知りつつも、最後まで最善を尽くす。何事にも、そうありたいものだ。

慶応大学 がくちゃん

   *NHKプロフェッショナル 仕事の流儀(2008年10月7日放送)

姉妹サイト