国技よどこへ行く
だが、今週の話題を独占したのは、朝青龍が法廷に出たこともあって、現代の「若ノ鵬 八百長告白」である。出稽古に行った春日野部屋で受けたきつい「かわいがり」、大関琴欧州がカド番のとき頼んできた「プライグライ(負けてほしい)」、両国の上で渡されたお礼100万円などについて詳細に語っている。次号では、注射(八百長)だけではなく、大麻を吸引していた力士や親方の話をするそうだから、注目である。
若ノ鵬は法廷でも証言する。したがって「(相撲に<筆者注>)八百長は一切ない」として、現代を訴えている相撲協会側の主張は崩れる。
他誌も、この話題を扱っているが、温度差があって面白い。新潮は、石原都知事の「協会が、一切八百長はございませんと言い切れるだけのあれ(根拠)があるのかねぇ」発言を取り上げている。
八百長追及では元祖のポストは、若ノ鵬が会見時、何かに怯えたかのような表情に注目して、「若ノ鵬は消される!」と忠告している。12年前、ポストで八百長と大麻を告発した元大鳴戸親方とその友人が、この問題について外国特派員協会で講演する直前、病院で同じ日に急死したことがあったからだ。ポストは、怯えの裏にあるのは、水産物や鉱物資源などの日ロビジネスに暗躍するロシア・マフィアではないかとし、朝日は、八百長告発で「相撲トトカルチョ」が仕掛けられなくなる暴力団ではないかと推測する。
かつて「巨人、大鵬、卵焼き」といわれた時代があった。泥まみれになった国技よどこへ行くと、酩酊した頭でうだうだと考えながら、シメの鴨せいろをすすった。