<テレビウォッチ>「また新しい事実が出てきました。いったいどこまであざむくのか」とみのもんたが吠えた。怒りの不連続シリーズ「ほっとけない!」が、年金記録改ざんの新しいパターンをさぐりだした。
キーワードは「標準報酬月額」だ。保険料や年金額算定の基準になるもので、毎年4―6月の平均給与額とほぼ同じ。ところが、これが実際の給与の額より低く記載されている。当然支給される年金の額も低くなる。
これがいま国会で論議になっている「改ざん」だ。社保庁が発表した144万件の内訳は:
(1)標準報酬月額を5等級以上引き下げられたケース 75万件
(2)6か月以上さかのぼり、引き下げられたケース 53万3000件
(3)引き下げと同時に、厚生年金を脱退するケース 15万6000件
しかし、社保庁は「これら3つ全部が該当する6万9000件が、われわれのまず取り組むべきターゲットと考えている」という。
以前「朝ズバッ!」でとりあげた斎藤春美のケースでは、「約3年間、30万円が8万円と、20等級以上引き下げられていた」。が、これは上のケース3には該当しない。すると、社保庁は「『まず取り組むべきターゲット』ではない」となる。冗談じゃない。
また、「朝ズバッ!」の調査で、上のどれにも当てはまらない改ざんの例が判明した。
愛知県のAさん(68)は、退職時に社会保険事務所で確認して、改ざんに気づいた。記載されていた標準報酬月額が、実際の給与額と極端な差があった。銀行の預金通帳で確認してみると、平成3(1991)年の平均は41万5710円(税金、保険料など天引き後)で、平均給与額は少なく見積もっても50万円はあったことになる。ところが標準報酬月額は22万円と記載されていた。
また、標準報酬月額が入社時16万円から退社時28万円まであがっていたが、実際の給与とは差があり、そもそも初めから低く設定されていた疑いも出てきた。Aさんは、「会社の都合か社保庁の都合かわからないが、給料が下げられていたのは事実」という。
問題はここから先だ。昨(2007)年12月Aさんは第三者委員会に記録回復の申し立てをしたのだが、8か月後に届いた回答は、「差があることは認める。が、給与明細書がないため、事業主により保険料が給与から控除されていたと認められない」として回復は認められなかった。
つまり、給与明細は保存していないと、改ざんが疑われても救済されないということになる。まさに「ほっとけない!」だ。
「これ犯罪でしょ? はっきりいって」とみの。
社会保険労務士の田中章二は、「もちろんです。しかし、保険料が払われているかどうかがわからないと救済されない。だから、給与明細を永久保存しないといけない」
みのは、「そんなこと今からじゃ無理。会社がなくなったりもある」
田中は「法律は動いてます。だから、会社の中を調査する調査官が必要だが、数が少なすぎる」という。
するとなにかい、改ざんは社保庁じゃなくて、保険料をけちるために会社がそれをやってるというのか?
田中は、「このAさんも、40万50万に見合う保険料払ってればいいが、立証ができなかった。記録では20万分しか払ってなかったとなると……」
これはたいへんだ。敵が会社だとなったら日本中で騒ぎが起こることになる?
だが、スタジオは案外静かだった。みのは、「ここまではわかった。次をどうするか」なんていってる。まだ、敵は社保庁としか思ってないのか? これ本当にやばいよ。