<テレビウォッチ>緒形拳(71)の訃報がトップで取り上げられた。
つい先日、連続ドラマの制作発表に姿を見せていただけに驚きである。1958年、新国劇入団からの歩みを振り返ったリポーターのみといせい子が表現するように「舞台で亡くなられたのと同じ」。
25年前の映画「楢山節考」で、母と息子役で共演した坂本スミ子は電話インタビューで、ずっと会っていなかったが、緒形の映画、テレビは全部、見ていたと言い、「ことば少なく骨太の人だった。私のほうが1つ年上。おっ母を残して先に逝ってほしくなかった。生きていて会えないのと、亡くなって会えないのとは全然、違う……耐えられません」と、その死を惜しむ。
肝臓がんの全身転移が死因とも報じられているが、やはりがんと闘う鳥越俊太郎は、緒形が、映画、テレビ、舞台で演じた「藤枝梅安」が印象に残ると話した。そして「全身転移があったとすれば相当、辛かったと思う。抗がん剤治療の副作用もあるし。でも、ギリギリまで表に出ていた。がんの場合、僕のように全部しゃべっちゃうのと、公表すると騒ぎになるというので、一言も漏らさずに消えて行く方もいる」「緒形さんは日本人のある種の典型。立っているだけで存在感のある俳優さんだった」とコメントした。
10月9日から始まる「風のガーデン」(フジテレビ系)が遺作となった。
文
アレマ| 似顔絵 池田マコト