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<アイアンマン>アメリカン・コミックが好きな人でなければ「アイアンマン」の名はあまり聞かないだろう。「バットマン」や「スパイダーマン」のように今までにシリーズ化もなく、今回が初めての映画化となる。そのため日本ではほとんどと言っていいほど知られていないヒーローだが、映画を見ればもうすっかりアイアンマン=トニー・スタークに魅了されるはずだ。
軍需産業のCEOでありながらプレイボーイであるトニーは、「バットマン」のブルース・ウェインと共通点が多く、比較されることがある。しかしブルースと違って暗い過去や悩みを抱えているわけではないので、大事な式典も平気ですっぽかすような、かなりのお気楽主義者。それでもどこか憎めない粋な男だ。『やるときはやる』タイプの主人公で、日本人にも受けそうなキャラクターである。
そんなトニー役にロバート・ダウニー・Jr.が扮しているが、これがかなりのハマリ役だ。彼が持つ渋いルックスと独特の妖しい雰囲気が、トニーのキャラクターと違和感なく合っている。今までの出演作とは路線が違うが、彼の代表作となるのは間違いないだろう。
明と暗がはっきりしているストーリー展開もとても見やすい。自分の会社が作り出した兵器がテロリストの手に渡り、目の前で一般人や同胞が殺され、自らも捕虜となってしまうトニー。あまりにも皮肉で残酷な現実を身をもって体感したトニーは、自分が『死の商人』になっていたことを自覚し、ここから改心して悪に立ち向かっていく。
見方によっては風刺的な内容だが、ところどころにユーモアが散りばめられており、深刻な展開にはならないので、そこまで話が重くならない。バットマンの「ダークナイト」に比べればわりと軽い気持ちで鑑賞できる。
そして何よりアイアンマンがかっこいい。正直、パワードスーツのビジュアルはいかがなものだろうと思っていたが、パワーアップしていく段階や戦闘シーンを見ていると、そんな疑問は吹っ飛んだ。ロボットアニメ世代の人ならば間違いなく興奮するだろう。夏からの大作ラッシュの締めとして見てほしい作品である。
ジャナ専 巴麻衣
オススメ度:☆☆☆☆