落書きと治安の関係は…
落書きを追究している小林茂雄・武蔵工大准教授がいう。「1970年代にブロンクスの若者が始めて、80年代にかけてアートとしてもてはやされた。これと状況が似ている」
国谷が「落書きがあると治安が悪くなるといわれるが‥‥」と聞く。
小林准教授は、「本来は関係がないのだが、住民が落書きを避けるようになると、犯罪が起こりやすくなる。スラム化が進むと、街が壊れてしまう」という。「日本では、はじめは罪悪感があったが、いまは軽い気持ちでやっている」
しかし、被害を受ける側は大変だ。6年前凄まじいことになったのが岡山だった。岡山市民はこれに「一斉消去」で対抗した。ボランティアを総動員して、目標にしたエリア内のすべてを消してしまうのだ。これを次々に実行した。「すぐ消さないとだめ。いまは10分の1になった」
小林准教授は、「アメリカ全土で年間数百億円かけている。すぐ消すことが、みんなで守っている、管理されているということを示すことになる」という。だが、今後については、「若い世代も加えて、議論することが必要」と、いささか頼りない。
要は、行政と警察がその気になるかどうかだろう。防犯カメラも駆使して、とにかくふん捕まえる。消去費用を払わせる。だめなら器物損壊罪で刑務所にぶちこむ。NHKでは、そこまではいえないか。
ヤンヤン
<メモ:落書き対策・米国の例>番組が紹介した米サンタアナ市の例が面白かった。24時間の「落書きホットライン」があって、市民から通報を受けると、あらゆる塗料・染料に対応できる市の担当者が48時間以内に消す。別に落書き専門の警察官がいて、常時パトロール。捕まった少年らは、200時間の「落書き消し作業」が課される。 「消すのがこんなに大変だとは思わなかった。二度としない」と、少年の1人がいっていた。
*NHKクローズアップ現代(2008年9月17日放送)