<テレビウォッチ>「工業用糊に使うなどと言っていたのが、一体どうなっているんだ」と、司会のみのが怒った。なぜこんなに流通先が広がったのか? 番組で明らかになったのは、またもや小泉改革の「負」の部分……
農水省が昨日(9月16日)、『三笠フーズ・ルート』の流通先を発表したが、先週の段階で85社だったのが一気に375社に膨れ上がった。このうち320社が、工業用どころか人の口に入る米や菓子など食品製造・販売業者だった。
しかも、公表されたのは『三笠フーズ・ルート』だけ。愛知県の『浅井』『太田産業』、新潟の『島田化学工業』を経由した転売先ルートは含まれておらず、流通先がさらに拡大することは間違いない。
この375社の中で、驚くのは58社にのぼる中間流通業者の数。それも三笠フーズに劣らず、国産米と偽って転売していた悪徳業者もいた。
みのが「それにしても何故、次々と不正転売を……」に、番組に生出演した元農水省勤務の森島賢・立正大名誉教授が「過当競争ですよ」と次のように解説した。
「以前は、米を売る場合は農水省の許可が必要だった。それが(小泉改革の)規制緩和で許可がいらなくなり、届け出さえすれば販売できるようになり、業者がものすごく増えて過当競争になった」
毎日新聞論説委員の与良正男も「小泉改革の『影』の部分ですよ。規制緩和は……。何社も何社もブローカーを重ねるたびに、それぞれが利ザヤを稼いでいる。最後はまあまあの値段で偽装米を買わされる。とんでもないですよ」と、怒り心頭だ。
その中間流通業者の1つ、名古屋市北区の米卸業者『ハラキン』は昨日、4年前の7月『浅井』からカビ毒の発生した汚染米を『ノノガキ穀販』を通じて購入し、主食米と精米して愛知、三重、滋賀県内のスーパーで販売していたことが明らかに。
『ハラキン』は、カビは全て除去されていて汚染米とは分からなかった」という。
農水省に業を煮やした福田首相は昨日、もはや農水省には解明する当事者能力がないとばかりに、野田聖子・消費者行政担当相に変わって「消費者庁の先行実施。司令塔としてやってもらいたい」と、実態の解明と再発防止を指示した。
退陣間際とはいえ、遅ればせながら腹に据えかねて乗り出してきた福田首相。最後まで小泉改革の『負の遺産』に振り回された形だ。