<テレビウォッチ>まあ、本屋さんにこんなにも監視カメラがあるとは――それらがとらえた万引の現場が次々に、保安係が追跡してとっつかまえる。「このやろう」。スパモニのカメラも走る。万引もイメージが変わった。
冒頭、「260億円」という大きなフリップが出た。年間の万引被害の推定だという。とくに中小の書店にとっては死活問題だ。現に、書店の数はどんどん減っている。2001年に2万939店だったものが、07年2月時点で1万6404店。たしかに愕然とする。「全国でたったこれだけ?」
ある東京の大手の店では、監視カメラが48台。万引犯とのいたちごっこが続く。「あの男、いま入れた」「そっちへ回ったぞ」などと、保安係の声と映像がダブル。外へ出たとたんに追っかけだ。だが、この映像も、リアルタイムで見ていないと、捕まえられない。その結果が260億円だ。
普通のサラリーマン、女高生、中年の男性……さまざまだが、捕まっても罪悪感がない。48歳の男が盗んだのは、1000円の本。買う金はちゃんと持っていた。が、「名前書かなくちゃいけないの?」
30歳の男は、4冊をもって逃げた。3人が追いかけてつかまえたが、身分証もない。住所不定でマンガ喫茶などで生活しているという。保安係が「これを売っても、1000―1200円くらいにしかならないでしょ。ダメだよ」という。が、男の所持金は何百円だった。
関西のある書店では、黒いカバンの男がみつかった。女性のいるところをうろうろしている。「撮ってるよ」と保安係。つかまえてみると、ビデオカメラで女性のスカートの中を撮っていた。
閉店した書店の経営者は、「万引は、ごめんなさいで済むものと思っている。1人をただしても他にいくらでもいる。無力感を感じます」という。
俗に「新古店」といわれる買い取りの書店がふえているのが、万引増加の背景にある。「盗まれたものかどうかを見分けるのは難しい」と新古店はいう。同じ本は複数は買わないなどの措置はとっているが、バラバラに持ち込まれればわからない。
室井佑月は、「わたしたちにも打撃ですよ。だって書店の数が減っちゃったら、刷ってくれる初版の部数が減るもん」「書店で万引見つけると直接注意していたんだけど、やっぱり店の人にいって、警察にいってもらわないと……」
赤江珠緒が、「直接いってたんですか? ダメよ」と驚く。
「だって、私の敵でもあるからさぁ」と室井。
小木逸平が、解説。「本は薄利で原価率が8割。だから1000円売ると200円ですよね。そこから人件費を払い、利益率が大手でも1点数%。非常に厳しい商売なんですよね」
森永卓郎が、「新古店では、出版時期と定価だけで値段を決めるマニュアルができてしまった。だから、古い本屋さんだったら、これ怪しいなというチェックがかかったのが、かからない。万引を増やす環境になってるのは間違いない」
小木は「1冊盗まれると5冊売らないといけないといいます」
若一光司は、「公立の図書館でも万引がふえていて、蔵書の印を削り取って売るというんです。受け皿の広がりがありますね」