ドクターヘリというのは、緊急の場合に医者を乗せて患者のもとに急行するヘリコプター。「コード・ブルー」だけあって(?)白い機体に青い文字が入っている。昨2007年法制化された最新のシステムだそうだ。「緊急発進、スクランブル!」みたいな感じで飛び立つヘリコプターは実にカッコいい。
これに乗るフライトドクターをめざす4人の研修生。藍沢(山下智久)、白石(新垣結衣)、緋山(戸田恵梨香)、藤川(浅利陽介)。イキのいいキャスティングだ。というか、見る前は、あまりに若すぎるのではないかと思っていた。新垣結衣、戸田恵梨香なんてハタチそこそこ。新垣結衣はつい最近まで高校生をやってたような気がするし、戸田恵梨香はいま成人式の晴れ着のCMに出ている。
それが、「ROOKIES」の時と同様(役者の年齢が高すぎた「ROOKIES」とは逆だけど)、気にならなくなった。山下くんは頬の線もシャープになって、見た目も大人っぽくなっている。戸田や新垣も難しい医学用語が多いセリフを喋りながら、きびきびと動いていて、医者らしく見える。
もっとも、彼らの若さが気にならないのは、ガッチリと脇を固める先輩医師、黒田(柳葉敏郎)、西条(杉本哲太)、三井(りょう)、森本(勝村政信)や、ヘリパイロットの梶(寺島進)の存在によるところが大きい。また、研修生に「あなたたちより私の方が優秀なのに悔しい」とはっきり言い切る看護師の冴島(比嘉愛未)も存在感がある。比嘉はNHK朝ドラ「どんど晴れ」のヒロインだったが、私はこっちの役の方が好きだ。比嘉はきっちりした美貌の持ち主。朝ドラではそれが逆効果だったのか、ただのお人形みたいだった。この役で飛躍してほしい。
かつて高視聴率を取ったアメリカのドラマ「ER」と比べ「やっぱりイマイチ」と思う人もいるらしい。でも、私は英語が分からないので、吹き替えで見たことがあるが、あのいかにも翻訳調のセリフをあわただしく喋りまくる音声についていけなかった。だから、これでいいのだ。
全員がフライトドクターになれるわけじゃないので4人はライバルだ。最初は友情などなく、みんなが他の3人を出し抜いてヘリに乗り、有能なところを見せようとする。その医者としてやる気満々なところが爽快だ。やがて、勇躍ヘリに乗ってみたら、救急現場のあまりの厳しさに何もできない自分に打ちのめされたりもするのだが……。
現場の迫力も十分。なかでも、爆発事故で吹き飛ばされ、コンクリートから突き出した杭に背中から串刺しにされて磔(はりつけ)状態の負傷者には度肝を抜かれた。杭を抜けばそこから大出血する。しかし、抜かないわけにはいかない。どうする、藍沢! 意を決して抜くが、やはり助からず心停止に。心臓マッサージを続けても戻らない。見ているこっちは胸に手を組んで祈りながら「戻って!戻って!」。すると、渾身の力を込めた藍沢の拳の一撃で再び鼓動が。ちょっと盛り上げすぎだが、ハラハラする。
カモノ・ハシ
*コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命 フジテレビ系 木曜夜10時~