<テレビウォッチ> 今日も、北京五輪の日本人選手とそれを見守る小倉智昭キャスターの活躍が長々と1時間以上伝えられた。
柔道で金メダルを獲った谷本歩実選手を北京の特設スタジオに迎えると、今日もスポーツ目利き小倉のトレードマークである"予言"が飛び出した。「ボクはね、金メダルの予想したときに、アユミちゃんは絶対金メダルって、数えてたの。だからうれしくて、うれしくて」
うれしいのは、金メダルか、予想の的中か。それにしても、小倉がどう思っていたかなど他人には知るよしもないのだから、そう言われても困ってしまうわけだ。たいていは、こんな台詞は相手への世辞やジョークでしかない。ところが、それが小倉の口からでるときは、いたって大真面目。信頼のおけるテレビキャスターの後出し予言だから、疑う方が悪いとでも言いたげな小倉である。
その様子はあまりに戯画的なので、訝しく、確信犯の可能性も否定できないであろう。そろそろ閉会までの日数を指折り数えはじめた移り気な視聴者を楽しませなければいけない――そんな信念、強迫観念がベースにあるのかもしれない。
文
ボンド柳生| 似顔絵 池田マコト