<テレビウォッチ>キャラメルの箱を使うから「キャラメル賭博」というんだそうだ。昔は「デンスケ賭博」といって、青いピースの箱を使っていた。やってることは明治の昔からまったく同じだ。
3つの箱のひとつの裏に印がつけてあり、シャッシャッとシャッフルしたあと、印の箱を当てると、賭けた金が3倍になる。サクラがいて、よく当てるのを見て、通りがかりを誘い込んで金をまきあげるのである。
これを大阪・梅田の路上でやっている現場を、カメラが追った。簡単な台を組み立てるところから、見張りやサクラの動き、金のやりとり、客がひっかかって口惜しそうに立ち去る様子……「あ、金をやりとりしてます」という記者の声。
次いで、記者が客を装って近づき、隠しカメラでディーラーの手もとをアップで見せる。顔まで写っているが、むろんモザイク。そのうち取材に気がついたか、サッとひきあげる男たち。記者に「あんた警察か?」「みえますか?」「何時からとか聞くからさ」。感づかれるとはまあ、お粗末。
そのうちカメラが男たちを直撃する。逃げる男に、記者が「違法行為なんだから、警察へいきましょうよ」といっている。おいおい、小学生新聞じゃないんだから。とうとう男の1人がカメラにつかみかかって、ファインダーをちぎってしまった。そうなると事件だが、わざわざ事件を起こしてるようにもみえる。
あとの取材で、3人の男がサクラや見張りを雇ってやっていたらしいとわかった。見張りは「西成で、2000円で雇われた」といっていた。カメラを壊した男も突き止めたが、逃げられてしまう。
「これが賭博集団なのでしょうか」という大げさなナレーションが間抜けに見えるのは、記者たちがこれを知らない様子なのだ。昔は都会に住む人ならだれもが知っていた。やっているのは、テキ屋の怖いお兄さんたちで、だまされる方が悪いんだと……。
CGで解説しただけでなく、スタジオで小木逸平が松尾貴史を相手にやってみせた。若い人はだれも見たことがないらしい。おまけに、小木の手口の解説もとろい内容。本当のテキ屋のワザは手品に近いものなのだ。
宮川俊二が「古典的なやつで、こんなのにひっかかる人がいるのか」といっていた。
吉永みち子までが、「当たらないんなら、詐欺だよね」なんていってる。
「デンスケ」という言葉はとうとう出ず。「デンスケ」は遠くなりにけりか。